研究課題/領域番号 |
22000005
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
田村 元秀 国立天文台, 光赤外研究部, 准教授 (00260018)
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研究分担者 |
臼田 知史 国立天文台, ハワイ観測所, 准教授 (10311177)
佐藤 文衛 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (40397823)
早野 裕 国立天文台, ハワイ観測所, 助教 (80390623)
GUYON Olivier 国立天文台, ハワイ観測所, RCUH職員 (90399288)
黒川 隆志 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 教授 (40302913)
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キーワード | 光学赤外線天文学 / 太陽系外惑星 / 補償光学 / 赤外線素子 / 波長校正 / 分光器 |
研究概要 |
本研究では、高コントラスト赤外線装置を用いて、我々の太陽系の惑星に似た系外惑星を直接撮像すると共に、原始惑星系円盤の詳細構造を描き円盤から惑星が形成される過程を解明し、巨大惑星の多様性の起源とその形成を解明する。さらに、世界最高精度の赤外線ドップラー観測装置を開発し、ハビタブルな地球型系外惑星を多数検出する。そのために、波長校正、分散素子、赤外波面補償光学という赤外線の新技術開発を推進する。これらの間接観測の結果を惑星形成理論と比較し、地球型惑星の起源とその形成を解明する。 今年度は、SR12 ABのまわりの惑星撮像とSIRIUSのまわりの惑星の制限の結果を出版し、その他いくつかの恒星のまわりの伴星候補天体(今後の確認が必要)の検出に成功した。さらに、残骸円盤HR4796Aのリングの初めての2次元的ズレ検出に基づき、惑星存在の証拠を示した。この結果を査読誌に出版し、プレスリリースを行い、ナショナルジオグラフィックなどのメディアで取り上げられた。数多くの原始惑星系円盤の微細構造を検出し、日米の天文学会で公表した。また、直接撮像プロジェクトSEEDSの中間レビューのための資料作成を進めた。関連する、褐色矮星・超低質量星の観測的研究を行なった。 開発的研究としては、新規に開発する超高精度分光器IRDの光学系詳細設計、分光器の鍵となる分散素子の試作、室内実験用プロトタイプ分光器の製作、天体光・コム光導入のためのファイバー実験などの開発を進め、学会等で報告した。サイエンスワーキンググループによるM型星のまわりの惑星の検討を進め、レポートにまとめ、学会等で報告した。光周波数コム発生実験を進め、Hバンドで使用可能なプロトタイプコムを試作した。また、超補償光学系の望遠鏡試験を継続して行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
系外惑星・円盤直接観測探査(SEEDSプロジェクト)の推進については、系外惑星と円盤の双方を結び付けることで、世界的にもユニークな成果を当初の予定以上に発信している。研究チームが保守・整備する装置(HiCIAO)もトラブルはない。国内外の共同研究者との連携もとれている。世界最高精度近赤外線高精度分光器の詳細設計も進んでおり、光学設計の詳細設計を固めた。要素部分である、光周波数コム、分散素子、検出器系の各試作が行われ、それぞれの成立性を確認した。要素開発が順調のため、装置概念設計審査ではなく、来年度初めに、製作前審査を行うことにした。既存の高分散分光器を用いたガスセルの観測も行い、高精度赤外観測の経験も積みつつある。
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今後の研究の推進方策 |
系外惑星・円盤探査(SEEDS プロジェクト)の推進については、中間レビュー終了後、今後も年間25夜程度の観測を進め、直接観測による系外惑星と円盤撮像の例を増やし、G型星における遠方系外惑星の統計、および、その形成理論についての観測的制限を与える。世界最高精度近赤外線高精度分光器は、機械系詳細設計を経て、製作を開始する。光周波数コムと検出器系についても順次製作・最適化試験を開始する。既存の高分散分光器を用いた高精度赤外観測も継続する。計画の大きな変更や問題点はとくに無い。
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