研究課題/領域番号 |
22000010
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大見 忠弘 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 名誉教授 (20016463)
|
研究分担者 |
平山 昌樹 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 准教授 (70250701)
後藤 哲也 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 准教授 (00359556)
諏訪 智之 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 助教 (70431541)
|
キーワード | MOSトランジスタ / MOSトランジスタ / シリコン表面平坦化 / プラズマプロセス |
研究概要 |
任意のシリコン表面上に、ゲート絶縁膜とシリコンの界面が原子オーダで平坦になされた3次元立体構造MOSトランジスタを製造するプロセス技術を創出して、シリコン結晶の有する全性能を駆使することにより、超低消費電力で文字通り超高速動作するバランスドCMOSシリコン集積回路(LSI)を創出することが本研究の目的である。申請者はこれまでに、ウルトラクリーン技術を導入した熱処理炉を用いてSi基板を超高純度Ar雰囲気中800℃以上で熱処理することにより、Si(100)表面の原子オーダ平坦化に成功している。平成23年度には、本技術をSi(551)面に適用し、600℃程度の低温でもSi(551)表面の平坦性が向上することを見出した。すなわち、Si(551)表面はSi(100)表面と比較し、より低温でシリコン表面の平坦化が進行し易いことを意味している。この結果から、これまでに得られた高温熱処理におけるシリコン表面の平坦化技術に対して、プラズマを用いてシリコン表面を活性化させることにより、低温でもシリコン表面の平坦化が実現可能であると考えられる。平成23年度は、プラズマプロセスを用いたシリコン表面の平坦化を行うために、915MHz金属表面波励起ダメージフリー高密度プラズマ装置を導入し、安定なプラズマ条件を探索した。また、915MHz金属表面波励起ダメージフリー高密度プラズマ装置を用いて、プラズマイオン注入を行った。ソースガスはPF_3ガスを使用し、活性化のアニールは550℃で行った。550℃の低温アニールでも逆方向電流が2x10^<-9>cm^<-2>であることを実証した。すなわち550℃の活性化アニールにおいても、従来のイオン注入装置でイオン注入し高温アニールで作製したPN接合と同程度の生成ライフタイムと、再結合ライフタイムを実現できることを見出した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究を達成するために、任意のシリコン表面を原子オーダで平坦化する技術が必須となるが、現在までに従来のMOSデバイスで使われるSi(100)表面の平坦化に加え(平成22年度)、本研究で必須となるSi(551)表面においても平坦化が実証できた(平成23年度)。さらに、ダメージフリーのプラズマイオン注入についても、逆方向リーク電流の小さいPN接合を実現できた(平成23年度)。これらの実験結果から、当初の研究計画に沿って研究が進んでいると判断する。
|
今後の研究の推進方策 |
平成24年度には、平成23年度に導入した915MHz金属表面波励起ダメージフリー高密度プラズマ装置を用いたXe/H2プラズマによるラジカル反応ベースの平坦化技術の開発を進める。さらに、本研究の目的である3次元立体構造MOSトランジスタの創出には、表面および側壁面が使われるため、3次元立体構造のシリコン表面に対してプラズマ平坦化技術を応用する。また、ダメージフリープラズマイオン注入を用いたMOSトランジスタの作製とその効果の検証について引き続き行う。さらに、任意の面方位のシリコン表面において、原子オーダで平坦なゲート絶縁膜/Si界面を有し、ダメージフリーイオン注入プロセスを用いて作製されたMosデバイスの電気的特性と電気的信頼性が劇的に向上することを検証する。
|