研究課題
任意のシリコン表面上に、ゲート絶縁膜とシリコンの界面が原子オーダで平坦になされた3次元立体構造MOSトランジスタを製造するプロセス技術を創出して、シリコン結晶の有する全性能を駆使することにより、超低消費電力で文字通り超高速動作するバランスドCMOSシリコン集積回路(LSI)を創出することが本研究の目的である。平成25年度までに、マイクロ波励起高密度プラズマ装置を用いて、Xe/H2プラズマによるシリコン表面の平坦化を行い、H2濃度が10%、プロセス圧力が266Paにおいて、Si(100)表面では平均粗さで0.039nmまで平坦化され、Si(551)表面では平均粗さで0.068nmまで平坦化されることを実証した。平成26年度は、MOSデバイスに対してXe/H2プラズマによるシリコン表面平坦化の効果を検証した。Si(100)基板に対して、素子分離形成後、ゲート酸化膜形成直前にXe/H2プラズマ平坦化を行い、そのままKr/O2プラズマを用いたラジカル酸化によるゲート酸化膜形成を行った。試作したMOSキャパシタにより電気的特性を評価した。平坦化を行わない従来のシリコン平坦面(約0.1nmの平均表面粗さ)を有するMOSキャパシタに比べて、Xe/H2プラズマ平坦化を行ったMOSキャパシタでは、絶縁破壊電界強度が約1 MV/cm向上するとともに、それぞれ20サンプルに対する絶縁破壊電界強度のばらつきもXe/H2プラズマ平坦化を行うことにより小さくなった。これは、Xe/H2プラズマ平坦化により、ゲート酸化膜/Si界面が平坦化され、絶縁破壊を誘起する電界集中箇所が抑制されたためと考えられる。この結果から、Xe/H2プラズマ平坦化は、MOSデバイスの電気的信頼性向上に有効であることが実証された。また、Xe/H2プラズマ平坦化はゲート酸化膜形成直前に行えるため、従来のCMOS製造プロセスへの導入が比較的容易であると考えられる。すなわち、Xe/H2プラズマ平坦化技術は、デバイス性能の面だけでなく、製造プロセスの面でも有効であるといえる。
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