研究分担者 |
藤本 健造 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 教授 (90293894)
葛谷 明紀 関西大学, 化学生命工学部, 准教授 (00456154)
瀧ノ上 正浩 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 講師 (20511249)
関山 浩介 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (40293675)
野村 慎一郎 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (50372446)
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研究概要 |
今年度も引き続き分子ロボット作製のための基盤技術研究を行った.(1)コンパートメント作製:村田らはDNAナノ構造をテンプレート基板上で作成するために,DNAと基板の静電的相互作用についてモデル化を進め,DLVO理論を応用して現象的な説明を行った.また,藤本らは,耐熱性を光制御できるDNAナノ構造体を用いたコンパートメント作製を目的とし,外部刺激応答性を有する人工DNAの開発ならびにそれらの性能評価を行った.秒単位で光架橋可能なシアノビニルカルバゾール誘導体を合成し研究代表者(村田)に提供した.さらにDNA分子やRNA分子を制御通信分子としたインターフェース実装を想定し,DNA情報ならびにRNA情報を外部刺激(光,磁場)によってミスマッチDNAと目的のDNAをS/N比100倍以上の高感度で正確に見分けながら操作可能な手法論の作製に成功した.また,瀧ノ上は,DNAマイクロカプセルを作成するためのテンプレートとなるアルギン酸ゲルビーズの作製方法の開発に成功した.この方法は,高重力下でマイクロキャピラリー中の溶液を吐出することで実現でき,ゲルビーズ表面に汚れ等が残らず,DNA自己組織化に適している.この方法を利用して,実際にDNAマイクロカプセルの自己組織化が行われていることも蛍光顕微鏡下で観察ができ,現在は,構造の詳細を調べている状況である.(2)インターフェース構築:葛谷らは分子ロボットで使用するインターフェースの構築を目的に,一軸を中心に可動するナノメカニカルDNAオリガミ構造体(DNAオリガミペンチ)を作成し,その機能評価を行った.その結果,大きなものでは分子量15万の抗体,小さなものでは,原子量数十の金属イオンまでの幅広いターゲット分子との相互作用で,選択的にDNAペンチ構造変化を引き起こすことに成功し,原子間力顕微鏡を使って個々の分子を観察する新しい生体分子検出法を開発した.野村らは,リボソーム表面における人工DNA構造体による機能化を目的とし,葛谷のデザインしたDNAオリガミ構造を用いて,DNA分子と脂質分子との相互作用の調査を行った.リボソームに人工物を付加した構造を,無細胞タンパク質発現系とカップリングさせる可能性について予備調査を行った.(3)分子ロボットの相互作用:関山らはDNA計算による分子ロボットの個体間相互作用のモデルを確率ペトリネットで設計し,シミュレーションで検証した.環境に応じて選択的状態遷移が強化される,学習的性質を可能とするDNA計算モデルを考案した.シミュレーションの結果を実際の反応で検証するための実験設備を整えた.
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