研究実績の概要 |
本研究課題では,生体外で3次元的な組織を再生することを目指し,幹細胞に生化学的および機械的刺激をピンポイントで与え,分化誘導を制御することのできる再生医療用プラットフォームの開発を進めている.これまでに,単一細胞や組織上の局所に刺激を与えて分化誘導するため,光駆動マイクロロボットを三次元的に操作し,リアルタイムで三次元観察できる高速共焦点顕微鏡システムを開発してきた.しかし,画像の更新速度を上げると,画像の光量が不足するというトレードオフ関係のために,力計測に必要なフレームレートを共焦点顕微鏡システムのみで実現することは困難であった.そこで,本年度は,光駆動マイクロロボット上に位置検出用のマーカを配置し、平面画像から光駆動マイクロロボットの位置と姿勢を3次元で高速に取得できる手法を開発した。これにより,力計測のデータ更新周期は,従来の10倍以上に向上した. また、光駆動マイクロロボットの局所に,非加熱,中性条件で金属コーティングを行う手法を開発した.この技術を用いて,ニードル状の光駆動マイクロロボットの先端に金属コーティングを施し,外部からのレーザ光照射により,細胞膜に微細穿孔する技術も開発した.これにより,培養中の細胞群の中で,特定の細胞のみに遺伝子操作や薬剤刺激を行うことが可能となった.
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