研究課題
1、MT1-MMMPが非プロテアーゼ機能として低酸素応答因子であるHIF-1を通常酸素分圧下でも活性化し、マクロファージの好気的解糖系活性を維持するために重要であることを示した。MT1-MMPがHIF-1を活性化するためにはMint3が必要である。Mint3をノックアウトしたマウスを作製したところ、見かけは正常であるが、マクロファージの解糖活性の低下とATP産生の減少が観察された。ノックアウトマウスのマクロファージはTNF-a等のサイトカイン産生が低下しており、LPS刺激によるショック誘導に対して抵抗性を示した。2、MT1-MMPによるHIF-1活性化はがん細胞でも観察され、通常酸素下での恒常的HIF-1活性化の原因であった。HIF-1活性化はMT1-MMPあるいはMint3のshRNAによる発現抑制で低下した。このことから、がん細胞におけるMT1-MMPの発現は解糖系の亢進現象として知られるワーブルグ効果の原因となっていることが明らかとなった。3、Mint3はMT1-MMPによるHIF-1活性化に特異的に必要とされるために、Mint3のノックダウンにより、ワーブルグ効果ががん細胞の造腫瘍性に与える影響を評価した。Mint3のノックダウンはマウスでの造腫瘍性を有意に減少させることから、MT1-MMP経路によるHIF-1活性化ががん細胞の増殖に寄与することが示された。
2: おおむね順調に進展している
特に遅れはない。
MT1-MMPがプロテアーゼ活性、非プロテアーゼ活性を介してがん細胞機能を制御する様々な経路の解析を、MT1-MMP会合タンパク質の解析を通して進める。
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