北極海の海氷激減－海洋生態系へのインパクト－

2014 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 22221003
• 研究機関: 独立行政法人海洋研究開発機構
• 研究代表者: 原田 尚美 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境観測研究開発センター, 研究開発センター長代理 (70344281)
• 研究分担者: 菊地 隆 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境観測研究開発センター, グループリーダー (30359153) ; 白岩 善博 筑波大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (40126420) ; 木元 克典 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境観測研究開発センター, 主任技術研究員 (40359162) ; 田中 裕一郎 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 主席研究員 (50357456) ; 岸 道郎 北海道大学, 水産科学研究科(研究院), 教授 (90214767) ; 渡邉 英嗣 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境観測研究開発センター, 研究員 (50722550)
• 研究期間 (年度): 2010-04-01 – 2015-03-31
• キーワード: 北極海 / 海洋生態系 / メソスケール渦 / セジメントトラップ係留系

研究実績の概要

近年、北極海における海氷融解が予測以上に早く進行しているが、それに伴って海洋生態系がどのような影響を被るのか明らかになっていない。本研究では、海洋観測や衛星観測によって、海氷減少に伴う北極海の環境変化を捉え、海洋生物はどう応答するのか生態系変化の黎明を捉えるとともに、精密培養実験によって北極海の疑似環境を作り出し、動・植物プランクトンの生理・機能変化を理解することを目的とする。さらに、海洋・衛星観測と培養実験の結果を新しく構築する生物資源モデルに利用し、餌環境変化から魚類資源の将来像を予測することを目的としている。現場観測班は、8-10月にカナダの砕氷船アムンゼン号に乗船し、３系のセジメントトラップ係留系の回収に成功した（チャクチ海１系、ノースウインド深海平原２系）。３系のセジメントトラップ係留系のサンプルは2015年２月に無事に日本に到着し、珪藻群集解析、マイクロ動物プランクトン、コペポーダの群集解析ならびに元素分析、炭素窒素安定同位体比分析等各種分析を実施中である。2010年から2012年にわたるセジメントトラップの観測の各種生物起源粒子の解析の結果、極夜初期に膨大に生物起源粒子の沈降が増加することが明らかとなった。加えて、海洋物理－海氷－海洋生態系モデルによる解析の結果、メソスケール渦がボーフォート海で発生し、これがノースウインド深海平原付近に粒子を巻き込みながら到達していること、渦内部では乱流の発生により栄養塩が表層へもたらされ、それによって一次生産および二次生産が起きているという全く新たな機構を発見した。この結果は論文で公表されたとともに、プレスリリースされ、多くのメディアに取り上げられることとなった。

現在までの達成度 (段落)

26年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

26年度が最終年度であるため、記入しない。

研究成果

• [雑誌論文] Diatom flux reflects water-mass conditions on the southern Northwind Abyssal Plain, Arctic Ocean (2015)
  • 著者名/発表者名: Onodera J., E. Watanabe, N. Harada, M. Honda
  • 雑誌名: Biogeosciences 巻: 12 ページ: 1373-1385
  • DOI: 10.5194/bg-12-1373-2015
  • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] Flux variations and vertical distributions of siliceous Rhizaria (Radiolaria and Phaeodaria) in the western Arctic Ocean: indices of environmental changes (2015)
  • 著者名/発表者名: Ikenoue T., K. R. Bjorklund, S. B. Kruglikova, J. Onodera, K. Kimoto, N. Harada
  • 雑誌名: Biogeosciences 巻: 12 ページ: 2019-2046
  • DOI: 10.5194/bg-12-2019-2015
  • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] Seasonal changes in the population structure of dominant planktonic copepods collected using a sediment trap moored in the western Arctic Ocean (2015)
  • 著者名/発表者名: Matsuno K., A. Yamaguchi, A. Fujiwara, J. Onodera, E. Watanabe, N. Harada, T. Kikuchi
  • 雑誌名: Journal of Natural History 巻: 印刷中 ページ: 印刷中
  • DOI: 10.1080/00222933.2015.1022613.
  • 査読あり / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] Distribution, source and transportation of glycerol dialkyl glycerol tetraethers in surface sediments from the western Arctic Ocean and the northern Bering Sea. (2014)
  • 著者名/発表者名: Park, Y.-H., M. Yamamoto, S.-I. Nam, T. Irino, L. Polyak, N. Harada, K. Nagashima, B.-K. Khim, K. Chikita, S.-I. Saitoh
  • 雑誌名: Marine Chemistry 巻: 165 ページ: 10-24
  • DOI: 10.1016/j.marchem.2014.07.001
  • 査読あり
• [雑誌論文] Assessment and calibration of TEX86 paleothermometry in the Sea of Okhotsk sub-polar North Pacific region: Implications for paleoceanography (2014)
  • 著者名/発表者名: Seki, O. J. Bendle, N. Harada, M. Kobayashi, S. Nagao, K. Sawada, T. Sakamoto
  • 雑誌名: Progress in Oceanography 巻: 126 ページ: 254-266
  • DOI: 10.1016/j.pocean.2014.04.013
  • 査読あり
• [雑誌論文] Enhanced role of eddies in the Arctic marine biological pump (2014)
  • 著者名/発表者名: Watanabe, E., J. Onodera, N. Harada, M. C. Honda, K. Kimoto, T. Kikuchi, S. Nishino, K. Matsuno, A. Yamaguchi, A. Ishida, M. J. Kishi
  • 雑誌名: Nature Communications 巻: 5 ページ: 3950
  • DOI: 10.1038/ncomms4950
  • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
• [学会発表] ノースウィンド深海平原における沈降粒子フラックス変動と海洋表層循環 (2015)
  • 著者名/発表者名: 小野寺丈尚太郎・渡邉英嗣・原田尚美
  • 学会等名: 国立極地研究所研究集会「北極の古海洋」
  • 発表場所: 国立極地研究所、東京都、立川市
  • 年月日: 2015-03-27
  • 招待講演
• [学会発表] Seasonal and annual flux changes of radiolaria under the seasonally sea-ice covered conditions in the western Arctic Ocean (2015)
  • 著者名/発表者名: Ikenoue, T., Kjell R. BJORKLUND, Svetlana B. KRUGLIKOVA, J. ONODERA, K. KIMOTO, N. HARADA
  • 学会等名: The 14th Meeting of the International Association of Radiolarists
  • 発表場所: Antalya, Republic of Turkey
  • 年月日: 2015-03-22 – 2015-03-26
• [学会発表] 北極海の海氷激減－生物生産および物質循環へのインパクト－ (2015)
  • 著者名/発表者名: 原田尚美・小野寺丈尚太郎・渡邉英嗣・木元克典・菊地隆・松野孝平・山口篤・佐藤真奈美・白岩善博・岸道郎・田中裕一郎
  • 学会等名: 日本海洋学会
  • 発表場所: 東京海洋大学、東京都、港区
  • 年月日: 2015-03-22 – 2015-03-24
• [学会発表] 北極海の沈降粒子中の鉄の安定同位体比とSr、Ndの放射壊変起源同位体比 (2015)
  • 著者名/発表者名: 淺原良浩・竹内晟也・安田友紀・原田尚美・長島佳菜・小野寺丈尚太郎・申基澈
  • 学会等名: 日本海洋学会
  • 発表場所: 東京海洋大学、東京都、港区
  • 年月日: 2015-03-22 – 2015-03-24
• [学会発表] Sr、Nd同位体比と希土類元素組成を用いた北極海カナダ海盆西部域の珪酸塩砕屑粒子の起源および季節変動の解析 (2015)
  • 著者名/発表者名: 竹内晟也・淺原良浩・原田尚美・長島佳菜・小野寺丈尚太郎
  • 学会等名: 日本海洋学会
  • 発表場所: 東京海洋大学、東京都、港区
  • 年月日: 2015-03-22 – 2015-03-24
• [学会発表] 北極海アイスアルジーモデリング：ボーフォート循環変動に対する応答 (2015)
  • 著者名/発表者名: 渡邉 英嗣，小野寺 丈尚太郎，原田 尚美，野口（相田）真希，石田 明生，岸 道郎
  • 学会等名: 日本海洋学会
  • 発表場所: 東京海洋大学、東京都、港区
  • 年月日: 2015-03-22 – 2015-03-24
• [学会発表] 北極海カナダ海盆西部域の沈降粒子の鉄同位体分析 (2015)
  • 著者名/発表者名: 竹内晟也、安田友紀、原田尚美、長島佳菜、小野寺丈尚太郎、申基澈、淺原良浩
  • 学会等名: 同位体環境学シンポジウム
  • 発表場所: 総合地球環境学研究所、京都府、京都市
  • 年月日: 2015-01-22
• [学会発表] Long-term monitoring of marine environmental changes by mooring system n the Pacific sector of the Arctic Ocean (2015)
  • 著者名/発表者名: Kikuchi, T., M. Itoh, S. Nishino, E. Watanabe, J. Onodera, N. Harada, K. Amakasu, M. Kitamura, M.Yamamoto-Kawai
  • 学会等名: Arctic Frontier 2015 conference
  • 発表場所: Tromso, Norway
  • 年月日: 2015-01-18 – 2015-01-23
• [学会発表] Seasonality of shell dissociation of marine calcifers in the Arctic Ocean (2014)
  • 著者名/発表者名: Harada N., Kimoto, K., Onodera, J., Sasaki, O., Kano, H., Tanaka, Y, Nishino, S., Yamamoto-Kawai, M.
  • 学会等名: Arctic Change 2014
  • 発表場所: Ottawa, Canada
  • 年月日: 2014-12-08 – 2014-12-12
• [学会発表] Arctic sea ice algae modeling to examine summer biogenic particle flux (2014)
  • 著者名/発表者名: Watanabe, E., J. Onodera, N. Harada, M. N. Aita, A. Ishida, M. J. Kishi
  • 学会等名: Arctic Change 2014
  • 発表場所: Ottawa, Canada
  • 年月日: 2014-12-08 – 2014-12-12
• [学会発表] Catarstrophic reduction of sea-ice in the Arctic Ocean -its impact on the marine ecosystems in the polar region (2014)
  • 著者名/発表者名: Harada, N., K. Kimoto, J. Onodera, E. Watanabe, M.C. Honda, M.J. Kishi, K. Takashi, Y. Tanaka
  • 学会等名: PICES 2014 annual meeting
  • 発表場所: Yeosu, South Korea
  • 年月日: 2014-10-16 – 2014-10-26
• [学会発表] Siliceous phytoplankton flux reflecting oceanographic variation in the southern Northwind Abyssal Plain (2014)
  • 著者名/発表者名: Onodera, J., E. Watanabe, N. Harada
  • 学会等名: PICES 2014 annual meeting
  • 発表場所: Yeosu, South Korea
  • 年月日: 2014-10-16 – 2014-10-26
• [学会発表] Sr、Nd同位体とREE組成を用いた北極海チュクチ海域の懸濁物中の珪酸塩砕屑物の起源および季節変動の解析 (2014)
  • 著者名/発表者名: 竹内晟也、淺原良浩、原田尚美、長島佳菜、小野寺丈尚太郎
  • 学会等名: 日本地球化学会
  • 発表場所: 富山大学、富山県、富山市
  • 年月日: 2014-09-16 – 2014-09-18
• [学会発表] Sinking particle flux of siliceous phytoplankton and the relationship with oceanographic variation in the southern Northwind Abyssal Plain (2014)
  • 著者名/発表者名: Onodera J., Watanabe E., Harada N.
  • 学会等名: Integrated Marine Biogeochemistry and Ecosystem Research Open Science Conference 2014
  • 発表場所: Bergen, Norway
  • 年月日: 2014-06-23 – 2014-06-27
• [学会発表] 円石藻Emiliania huxleyiの暗条件への生理学的応答の解析 (2014)
  • 著者名/発表者名: 佐藤真奈美、伊藤史紘、原田尚美、鈴木石根、白岩善博
  • 学会等名: マリンバイオテクノロジー学会
  • 発表場所: 三重大学、三重県、津市
  • 年月日: 2014-05-31 – 2014-06-01
• [備考] 北極海の海氷激減ー海洋生態系へのインパクトー
  • URL: http://www.jamstec.go.jp/arctic-eco/