研究課題/領域番号 |
22221004
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中別府 雄作 九州大学, 生体防御医学研究所, 主幹教授 (30180350)
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研究分担者 |
作見 邦彦 九州大学, 生体防御医学研究所, 准教授 (50211933)
土本 大介 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教 (70363348)
岡 素雅子 九州大学, 生体防御医学研究所, 特任助教 (80467894)
盛 子敬 九州大学, ヌクレオチドプール研究センター, 助教 (90467895)
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キーワード | ヌクレオチドプール / 環境ストレス / 化学物質 / 放射線 / 病態モデル / 酸化ヌクレオチド / 脱アミノ化ヌクレオチド / DNA修復 |
研究概要 |
DNAおよびRNAの前駆体であるヌクレオチドほ放射線や生体内外の環境ストレスにより多様な化学修飾を受けるが、その放射DNAおよびRNAの前駆体であるヌクレオチドは放射線や生体内外の環境ストレスにより多様な化学修飾を受けるが、その放射線生物影響における意義は不明で、早急に解決すべき課題ある。本研究では、環境ストレスによる修飾ヌクレオチドの生成が引き起こす生体障害を「ヌクレオチドプールの恒常性の破綻」どしてとらえ、以下のアプローチで多様な放射線生物応答の制御機構を明らかにする目的で研究を進めている。 [1]in vitroでの放射線照射により生成される修飾ヌクレオチドのHPLCおよびLC-MS/MS法による分離、同定を進めるとともに、放射線照射によりin vivoで生成される修飾ヌクレオチド検出系の確立を進めている。 [2]細胞外に放出・分泌される修飾ヌクレオチドとして、ATPの酸化体(2-OH-ATP)と脱アミノ化体(ITP)に注目し、さまざまな細胞への影響の解析を進めている。 [3]dITPおよびdIDPを分解しヌクレオチドプールから排除するITPAとNUDT16のノックダウンによりヒト培養細胞の増殖が抑制されることを見出し、DNA修復酵素ENDOVとAAGの同時ノックダウンで更なる増殖抑制を認めた.一方、ミスマッチ修復酵素MLH1の欠損によりITPAあるいはNUDT16のソックダウンによる細胞増殖の抑制が解除されることを見出した。 [4]Itpaヘテロ欠損マウスとEndoVあるいはMlh1ベテロ欠損マウスの交配により二重遺伝子ホモ欠損マウスの樹立を試みたが、いずれもItpaホモ欠損マウス同様に周産期致死性を示した:Itpa/Mlh1二重欠損胚から線維芽細胞を単離し、増殖能を調べたところItpa単独欠損で見られた増殖抑制の部分回復を確認した。 [5]ミトコンドリア神経毒3ニトロプロピオン酸による線条体変性がOgg1あるいはMth1欠損で悪化し、Mutyh欠損で改善することを見出した。神経細胞のミトコンドリアDNAに蓄積した8-oxoGに複製時に誤対合したアデニンがMUTYHにより除去されることでミトコンドリアDNAの崩壊が誘導され、カルパイン依存性に神経細胞が脱落する。一方、ミクログリアの核DNAに8-oxoGが蓄積すると複製時に誤対合したアデニンがMUTYHにより除去され、核DNA中に一本鎖切断が蓄積し、PARP/AIFに依存したミクログリオーシスの増悪が認められた。 [6]2つの新規ヌクレオチドプール浄化酵素(DCTPP1, NUDT16)ヘテロ欠損マウスを樹立した。 [7]神経変性モデルの3xTG-ADおよびSOD-TGマウスにOgg1, Mutyh, Mth1遺伝子の欠損を導入している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最も時間を要する神経変性モデルマウス(3xTg-AD)へのヌクレオチド浄化酵素(MTH1)とDNA修復酵素(OGG1)の二重遺伝子欠損の導入がスムーズに進行し、3年目となる平成24年度から前倒しで解析が可能となってきた。
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今後の研究の推進方策 |
個体レベルでの放射線照射の影響の解析を種々の遺伝子改変マウスを用いて比較解析する予定であるが、平成24年3月に所属部局のSPF動物施設で感染事故が見つかり、それぞれのSPF飼育部屋への出入りが1日に1回と制限されているため、動物実験を行う上で日程や人員配置など綿密な計画を組む必要が出てきた。現在、当教室が使用中のSPF飼育部屋への感染を未然に防ぐように、教室員に消毒等の徹底を図っている。
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