研究課題
(1) 室温で、「AFM共有結合引力による上向きの力学的スイッチング」や「STMトンネル電子注入による下向きの電子的スイッチング」などのスイッチング現象を起こすことを見出したSiテトラマーのスイッチング現象の機構解明を実験と理論計算で行なった。その結果、Siテトラマーが対角線上の二つのSiダイマーが高いダイマーと低いダイマーに分離して電子注入でフリップ・フロップすることを見出した。このモデルに基づいて、高速スイッチング下では、Siテトラマーのfilled-state STM像がクロス型、empty-state STM像はT字型になる機構を解明した。また、電子注入スイッチがDIETプロセスで説明できることを明らかにした。さらに、力学的スイッチと電子的スイッチの競合現象の観察に成功して、その機構も解明した。 (2)室温で、「STMトンネル電子注入による電子的スイッチング」が起こることを新たに見出したPbトライマーは、トライマーの吸着位置が不明で、実験的には一個または二個のPb原子が異種原子のSiアドアトムと位置交換している可能性が有ること、また、スイッチングにより異種原子のSiアドアトムと位置交換したPb原子の位置も変わっている可能性が有ることを見出した。そこで、今年度は、Pbトライマーを構成する3個のPb原子と位置交換したSiアドアトムの吸着位置とスイッチング機構の解明を、STM局所状態密度の実験と理論計算などで行なった。その結果、Pbトライマーを作製して、STMトンネル電子注入を行った場合、Pb2Si3クラスターが吸着位置を変えていることを、実験と理論計算の比較で明らかにした。また、2個のPb原子がSiアドアトムと交換して吸着していることも明らかにした。Pb2Si3クラスターのスイッチは、室温で5個のバイナリ―原子クラスターが協奏的に位置交換する非常に興味深い現象で有ることが判明した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Nature Communications
巻: Vol.6 ページ: 6231 (7pages)
doi:10.1038/ncomms7231
Physical Review B
巻: Vol.91 ページ: 75401 (8pages)
DOI: http://dx.doi.org/10.1103/PhysRevB.91.075401
巻: Vol.5 ページ: 4360 (7pages)
doi: 10.1038/ncomms5360
http://www.afm.eei.eng.osaka-u.ac.jp/