研究課題
今年度の成果の概要は以下のようになる1. ゲノムプロファイル解析、表示化ソフトのためのパイプライン、DROMPAを構築した。特にデータの精度、品質評価について複数の指標を導入した。2. コンデンシンタンパクが、ヒト、分裂酵母において、M期に転写によって生じる脆弱な構造をマスクする役割をになっていることを明らかにした。3. SMC5/6タンパクが複製と染色体分配を連携させる染色体高次構造形成因子であることを明らかにした。特に、SMC5/6がTop2およびコンデンシンの正常な局在化に必要であることを見出した。4. コヒーシンローダーがRNAポリメラーゼのpausingに必要であるという予備的な知見を得た。5. コヒーシン変異が骨髄異形成症候群の主要な原因であることを突き止めた。6. コヒーシンの脱アセチル化酵素の特異的阻害剤を単離し、この阻害剤がT細胞白血病に有効である可能性を示した。以上のように、染色体の基本構造を解明するためのソフトウェアを開発し、染色体高次構造と染色体機能との連携について幾つもの新しい知見を得ることができた。今後は特に標準化指標として、定量的なChIP-seqを行うための指標を解析サンプルからどのようにすれば得ることができるか、という点についてより焦点を当てつつDROMPAの改良に取り組んでいく。また、引き続き、SMCタンパク群を始めとした染色体高次構造形成因子によりフォーカスした研究を行う。
2: おおむね順調に進展している
解析パイプライン、可視化の標準ソフトも組み上がり、種々の染色体タンパクについてのその細胞周期における可視化は順調に進捗しており、既に高次構造と染色体機能をリンクする因子、染色体機能についていくつもの新しい発見があった。
特段の大きな変更はなく、構築した情報学的解析も含めたプロトコルにのっとって染色体ダイナミクスを基本的な生物格的過程について明らかにしていく。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)
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