政治構造変動と圧力団体、政策ネットワーク、市民社会の変容に関する比較実証研究

2012 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 22223001
• 研究機関: 筑波大学
• 研究代表者: 辻中 豊 筑波大学, 副学長 (70145944)
• 研究分担者: 近藤 康史 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (00323238) ; 小嶋 華津子 慶應義塾大学, 法学部, 准教授 (00344854) ; ティムール ダダバエフ 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (10376626) ; 坪郷 實 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (20118061) ; 山本 英弘 山形大学, 教育文化学部, 准教授 (20431661) ; 坂本 治也 関西大学, 法学部, 准教授 (30420657) ; 森 裕城 同志社大学, 法学部, 教授 (70329936) ; 竹中 佳彦 筑波大学, 人文社会系, 教授 (80236489) ; 崔 宰英 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (80332550) ; 大西 裕 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (90254375) ; 濱本 真輔 北九州市立大学, 法学部, 講師 (20625850) ; 久保 慶明 筑波大学, 人文社会系, 助教 (00619687)
• 研究期間 (年度): 2010-05-31 – 2015-03-31
• キーワード: 圧力団体 / 政策ネットワーク / 市民社会 / 政治変動 / 現代日本政治 / 利益団体 / 政権交代 / サーベイ調査

研究概要

日本の政権変動、公共政策の変化といった一連の政治変動が、どのような衝撃を、政策過程や市民社会に与えるかを、複数レベルの調査を行い検証する本研究の３年度目である。今年度は、昨年度から行っている圧力団体調査と並行して、より具体的にアクター間の政策ネットワークが変容したかどうかを検証するためのネットワーク調査を遂行し、さらに、更なる政権交代が予想される事態に直面し、次年度予定の市民社会組織調査の一部を前倒し的に実施した。構造変動と政治・社会関係の変容を比較政治的に解明する作業（比較対象国の分析と多数の研究会、国際会議参加）も推し進めた。
政策ネットワーク調査は、1997年に実施した第1次調査との比較可能性を考慮しつつ、(1)環境政策に関わる政府内アクターと政党、(2)温暖化問題に関する政策形成過程への参加、(3)温暖化ガス排出削減による利害の有無、(4) 温暖化対策に取り組む環境NGO、(5) マス・メディアという5点の基準を設定した。この基準をもとに、①第1次調査で回答②COP15と17の参加③環境NGOデータベースで温暖化・気候変動に言及し、年間予算規模が1億以上のNGO④温室効果ガス排出量が上位5位の企業⑤朝日・日経の各紙で10万kWの再生可能エネルギー事業計画の企業⑥上位5位の政党⑦温暖化関連4法案招致組織⑧上位5位の新聞とテレビ局、という8つの基準のいずれかを満たす155の組織を対象に調査を実施した。3月初の時点で回収数は98組織、回収数は63.2%である。政権交代という事態に直面し、市民社会組織調査を、山形県、愛知県、京都府、大阪府、福岡県、沖縄県に所在する約8千の社会団体（母集団15,875から層化2段階無作為抽出）を対象として郵送調査（ウェブ回答可）を行った。実質回収率は21%であった。

現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

民主党連立政権（2009年秋）とその後の政治構造変動を念頭に、年次進行で、圧力団体、政策ネットワーク、市民社会・地方自治体と実証調査が組み立てられていたが、2011年の大震災と2012年末の再度の政権交代を受けて、2013年度に予定されていた市民社会組織調査の一部を前倒しした。また比較対象とする国々に関する研究も進展した。

今後の研究の推進方策

民主党連立政権（2009年秋）とその後の政治構造変動を念頭に、年次進行で、圧力団体、政策ネットワーク、市民社会・地方自治体と実証調査が組み立てられていたが、2011年の大震災と2012年末の再度の政権交代を受けて、2013年度以降の調査・分析計画を再検討中である。2回の政権交代と震災を受けて、2013年度に予定されている調査の一部を、最終年度の2014年度に持ち越すことを検討している。というのは2013年度中に、参議院選挙があり、新たな自民党連立政権との関係で調査をする場合、調査票など再検討を必要とするからである。また日本との比較対象とされる国々の分析研究を先行させることも考慮中である。

研究成果

• [雑誌論文] 日本における二大政党化現象の実像 (2013)
  • 著者名/発表者名: 森裕城
  • 雑誌名: 経済政策 巻: 192号 ページ: 6-13
• [雑誌論文] 社会民主主義政党の路線転換についての比較研究─イギリス労働党と日本社会党はなぜ分岐したのか─ (2013)
  • 著者名/発表者名: 近藤康史
  • 雑誌名: 国際公共政策論集 巻: 31号 ページ: 1-23
  • 査読あり
• [雑誌論文] 現代日本の団体政治 はじめに（編集巻頭論文） (2012)
  • 著者名/発表者名: 辻中豊
  • 雑誌名: 年報政治学 巻: 2012-II ページ: 3-13
• [雑誌論文] 新自由主義的教育改革の政治過程とその分析視角 (2012)
  • 著者名/発表者名: 森裕城
  • 雑誌名: 年報政治学 巻: 2012-II ページ: 42-64
• [雑誌論文] はじめに-改めて問われる民主主義の「質」- (2012)
  • 著者名/発表者名: 大西裕
  • 雑誌名: 日本比較政治学会年報 現代民主主義の再検討 巻: 14号 ページ: i-x
• [雑誌論文] 市民なき市民社会からの脱却-韓国の市民社会の変容- (2012)
  • 著者名/発表者名: 大西裕
  • 雑誌名: 年報政治学 巻: 2012-II ページ: 224-246
• [雑誌論文] ロビイング戦術の階層構造 (2012)
  • 著者名/発表者名: 山本英弘
  • 雑誌名: 年報政治学 巻: 2012-II ページ: 181-201
• [雑誌論文] NPO－行政間の協働の規定要因分析─市区町村データからの検討─ (2012)
  • 著者名/発表者名: 坂本治也
  • 雑誌名: 年報政治学 巻: 2012-II ページ: 202-223
• [雑誌論文] The Corporatist System and Social Organizations in China (2012)
  • 著者名/発表者名: Kazuko Kojima, Jae-Young Choe, Takafumi Ohtomo, and Yutaka Tsujinaka
  • 雑誌名: Management and Organization Review 巻: 8：3 ページ: 609-628
  • DOI: DOI: 10.1111/j.1740-8784.2012.00298.x
  • 査読あり
• [雑誌論文] "Between the State and Society: Position of Mahallas in Uzbekistan" (2012)
  • 著者名/発表者名: Timur Dadabaev
  • 雑誌名: Eurasia Twenty Years After 巻: 2012号 ページ: 153-171
  • 査読あり
• [雑誌論文] 政権交代の団体－政党関係への影響 (2012)
  • 著者名/発表者名: 濱本真輔
  • 雑誌名: 年報政治学 巻: 2012-II ページ: 65-87
• [学会発表] The Patterns of Governance in the Context of Civil Society: A Comparative Analysis of Japan, South Korea, the Philippines, and Bangladesh
  • 著者名/発表者名: Tsujinaka, Yutaka, Shakil Ahmed and Yohei Kobashi
  • 学会等名: International Conference on Governance and Public Policy in South and South East Asia
  • 発表場所: North South University, Dhaka, Bangladesh
  • 招待講演
• [学会発表] ソーシャルキャピタルと政治
  • 著者名/発表者名: 辻中豊
  • 学会等名: ソーシャルキャピタルワークショップ
  • 発表場所: 日本大学法学部1034講堂
  • 招待講演
• [学会発表] 韓国における市場志向的政党組織改革のゆくえ
  • 著者名/発表者名: 大西裕
  • 学会等名: 日本比較政治学会
  • 発表場所: 日本大学法学部
• [学会発表] 中国社会団体のネットワーク構造に関する一考察
  • 著者名/発表者名: 小嶋華津子
  • 学会等名: アジア政経学会
  • 発表場所: 関西学院大学
• [図書] 現代韓国の市民社会・利益団体 再論 (2013)
  • 著者名/発表者名: 朴仁京、辻中豊
  • 総ページ数: 153
  • 出版者: 筑波大学国際比較日本研究センター
• [図書] 第二次団体の基礎構造に関する調査（中国・基金会調査）コードブック (2013)
  • 著者名/発表者名: 辻中豊編
  • 総ページ数: 147
  • 出版者: 筑波大学
• [図書] 第二次団体の基礎構造に関する調査（中国・民弁非企業単位調査）コードブック (2013)
  • 著者名/発表者名: 辻中豊編
  • 総ページ数: 290
  • 出版者: 筑波大学
• [図書] 第二次団体の基礎構造に関する調査（中国・社会団体）コードブック (2013)
  • 著者名/発表者名: 辻中豊編
  • 総ページ数: 158
  • 出版者: 筑波大学
• [図書] 第四次 団体に関する調査 コードブック (2013)
  • 著者名/発表者名: 辻中豊編
  • 総ページ数: 271
  • 出版者: 筑波大学
• [図書] 現代日本のNPO政治─市民社会の新局面 (2012)
  • 著者名/発表者名: 辻中豊、坂本治也、山本英弘
  • 総ページ数: 314
  • 出版者: 木鐸社
• [図書] Natural Disaster and Nuclear Crisis in Japan: Response and recovery after Japan’s 3/11 (2012)
  • 著者名/発表者名: Yuko Kawato, Robert Pekkanen and Yutaka Tsujinaka（Jeff Kingston (Ed.)）
  • 総ページ数: 78-93
  • 出版者: Oxon, U.K.: Routledge
• [備考] 政治構造変動と圧力団体、政策ネットワーク、市民社会の変容に関する比較実証研究
  • URL: http://tsujinaka.net/kibans/index.html
• [備考] 国際比較日本研究センター
  • URL: http://cajs.tsukuba.ac.jp/