研究概要 |
本研究課題では,政策情報供給の効果を検証するとともに,立法府の政策情報公開を促進し,政府に関する情報公開の包括化を図っていく.また,立法府の政策情報を英文でも公開・発信し,わが国の立法に関する国際的な理解・研究の基盤を提供するとともに,政策的知識やIT・言語能力に制約されない電子化情報の公開方法を試行し,政策情報公開のユニバーサル化を目指す.平成23年度においては以下を実施した. 1.情報公開の効果検証 本研究課題では,情報公開制度の集計的な利用状況ではなく,開示請求の目的と請求された情報内容の関連性を解明していく.自治体を対象とした情報公開開示請求データベースを構築するため,開示請求案件の入出力をインターネット上で行うプログラムの試行版を開発した. 2.立法情報のデータベース化 国会審議動画の検索システム試行版の運用を可能にした.具体的には,2011年における首相の所信表明演説で言及された主要争点に関連する30本の国会審議動画をサンプルとし,国会図書館の会議録検索システムから得られる議事録テキストと対応する衆議院配信の審議動画にタイムスタンプを作成した. 3.比較立法情報・英文データ化 初年度の欧州議会(ブリュッセル)調査に引き続き,欧州議会(ストラスブール)について調査し,議会図書館関係者の国際組織年次大会に参加し,立法情報の電子化について調査した.また,政治指導者の国際的データベース開発を目指SEDEPEプロジェクトのワークショップに参加し,日本の閣僚について報告した. 4.情報公開のユニバーサル化 初年度に開設した本研究課題のウェブサイトを拡張し,立法情報の統合ポータルサイトの運用に着手した.とくに国会審議動画の検索システムと情報公開開示請求データベースを本研究課題のサイト上で稼動することを可能にした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国会審議動画の検索システム試行版を開発し,また自治体を対象とした情報公開開示請求案件のデータベース化プログラムについても試行版を作成し,本研究課題のウェブサイト上で稼動することを可能にした.欧州議会などの調査も継続し,国会審議動画の検索や閣僚データの国際比較について海外の学会で報告したが,国会の立法情報の英文化については着手できなかった.
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は研究計画通りおおむね順調に進展している.ただし,平成23年度に着手予定であった国会の立法情報に関する英文化については,国会審議動画検索システムの開発を進めていく段階において,システムの施行段階で英文化に取り組むよりも,一定程度開発が進み,システムとしての安定性が確認された段階で取り組むべきであると判断するようになった.したがって,現在は比較的に長い審議動画30本をサンプルとしているが,平成24年度においては文字テキストと動画のタイムスタンプ自動化のプログラム開発に重点的に取り組み,その進捗状況に応じて英文化についても着手する方針である.
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