研究課題
デュアルπ電子系(Me-3,5-DIP)[Ni(dmit)2]2のサイクロトロン共鳴および電子スピン共鳴測定を行った。サイクロトロン共鳴より伝導層キャリアの有効質量を導出し、磁性層との大きな相互作用の寄与を見出した。また、電子スピン共鳴により磁性層のスピン相関やスピンダイナミクスを明らかにした。さらに、磁性層と伝導層に有限な相互作用が存在するものの、伝導層のスピン緩和が非常に短くスピン相関が層間方向に発達し得ないため、長距離秩序化しない事が明らかになった。光異性化による電気二重層生成を低温において実現し、有機強相関パイ電子系への光誘起キャリアドーピングを行った。今年度は低温での磁化率測定に成功し、紫外線照射による超伝導反磁性の発現を確認した。これは遠隔操作での超伝導光スイッチングの可能性を示す。また、反磁性磁化率の見積もりにより、超伝導転移が界面だけでなく、バルクで起きていることが明らかとなった。これは分子パイ電子系の双安定性に基づく現象と言える。多層ディラック電子系であるα-(BEDT-TTF)2I3へPEN基板を使った接触帯電法でキャリアを注入し、ディラック電子系に特有の量子磁気抵抗振動と量子ホール効果を観測してきた。今年度は、フェルミエネルギーをディラック点から約-100 Kのところにあると予想されるファン・ホーブ特異点近傍場に移動させて新奇物理現象を探索することを目的にテフロン基板デバイスを作製し、PEN基板デバイスよりも高濃度の正孔を注入することに成功した。ダイヤモンドアンビルセルを用いた超高圧下電気伝導度測定を行い、世界初の単一成分分子性超伝導体 [Ni(hfdt)2]を発見した。第一原理バンド計算を行い、8GPaでは電子とホールに由来する小さい三次元的フェルミ面が、10GPaでは大きい二次元的フェルミ面が生じていることがわかった。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
加藤分子物性研究室http://www.riken.jp/lab-www/molecule/index.html
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