研究課題
本研究経費で購入した焼結ダイヤモンドアンビルを使って、岡山大学地球物質科学研究センターの6軸装置やSpring8のSPEED-MarkII等で各種実験を行った。MgGeO_3ペロブスカイト-ポストペロブスカイト相転移境界の決定、フェロペリクレースにおけるスピン転移近傍での電気抵抗測定、hcp-Feの状態方程式の決定、hcp-Feの拡散実験などを実施し成果を得た。いずれも地球深部科学における重要な貢献である。一年目における重点投資であったスパッタリング装置は、焼結ダイヤモンドアンビルへの銅電極の装着、鉄試料にたいするMgO絶縁カプセルの装着、薄膜半導体ダイヤモンドヒータの作成、ZnOによるGHz圧電素子の製作に利用されている。総使用時間は既に1000時間を越えており、当センターにおける高圧研究に不可欠な装置になっている。一年目に購入した計算機により3次元での有限要素法解析が快適に遂行できるようになった。本計算機により、複合弾性論における3次元空孔効果の解析を極めて短時間で完了させることができ、その後、塑性変形や、固体と液体が共存する、より複雑でかつ自然に近いモデルの解析を手がけ始めたところである。本研究では電気抵抗の他、レオロジーと熱物性測定を提案しているが、レオロジーではCalrO_3アナログ試料でペロブスカイト-ポストペロブスカイト転移に伴う方位関係を実験的に調べ、ダイヤモンドアンビルによるMgSiO_3での研究に進展している。本研究結果はD"層における地震学的特徴を統一的に理解する可能性を秘めており今後の展開が期待される。熱物性測定では実験可能領域を遷移層相当まで拡大することに成功した。また申請段階では予定していなかったGHz音速法を本格的に実施することになった。
2: おおむね順調に進展している
スパッタリング装置と焼結ダイヤモンドを用いた研究が活発に行われ成果につながっている。ダイヤモンドアンビルを併用したレオロジー実験やGHz音速法など、本研究計画の申請段階で予想していなかった展開も見られてお.り、今後の発展が期待できる。本計画がスタートして2年が経過したが、焼結ダイヤモンドを用いた川井型装置の発生圧力向上では当初予定をクリアできていない。今後、スパッタリング薄膜試料の活用と有限要素法シミュレーションを併用しブレークスルーを達成すべく更なる努力が必要と認識している。
焼結ダイヤモンドアンビルを用いた物性実験では成果が着実に上がっているので、今後の研究の重点の第一は発生圧力の向上である。前欄で記載した方策の他、焼結ダイヤモンドアンビルの大型化、新圧媒体の導入などが検討項目になる。重点の第二は、本研究計画の最初の二年間の研究の中から着想を得た"ダイヤモンドアンビルでのレオロジー実験"と"GHz音速法"を先端的研究成果を出すところまで育てていくことである。
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