研究課題
二酸化炭素は温室効果気体であるとともに酸性気体なので,人為起源二酸化炭素の放出は地球温暖化のみならず海洋酸性化をもたらすと危惧されている.地球表層システム全体の中で,海洋酸性化の位置づけ, pHを支配する地球システムと将来の生物圏への影響を明らかにすることが本研究の目的である.精密二酸化炭素分圧(pCO2)制御装置 [AICAL(Acidification Impact onCalcifiers)装置] を用いてハマサンゴ,ミドリイシなどのサンゴを対象として精密飼育実験を行った.サンゴは低温域(<20℃)では成長が停止する.高温と低温域に近い温度区では,これらのサンゴは,pHの変化により敏感になることが予想される.そこで,これらの温度区について,pHへの応答を精密実験により明らかにする目的で,特に,石灰化生物にとってストレスに弱いとされる卵,幼生期のサンゴについて,pH応答を精密飼育実験で調べた.その結果,大人のサンゴへの影響は限定されていたが,幼サンゴについては,大きな影響がでることがわかった.バングラデシュを4回,調査のために訪れ,ガンジス川 ,ブラマプトラ河,メグナ川で調査を行い,下流では土壌由来の二酸化炭素によりpCO2が増加することが明らかとなり,ヒマラヤマ・チベット地域と対照的であることがわかった.古環境での海洋酸性化およびサンゴ骨格のICP-MSレーザーアブレーションシステムによる分析法の開発については当初の予定どおりに進展している.サンゴおよび石灰質殻をもつ動物の精密飼育実験については計画以上に進展し,グレードの高い雑誌に掲載された.
2: おおむね順調に進展している
当初の予定どおりに進展している.サンゴおよび石灰質殻をもつ動物の精密飼育実験については計画以上に進展し,グレードの高い雑誌に掲載された.
陸域二おける化学風化による中性化については,バングラデシュでの調査を4回実施して,現在,分析・解析中で,2013年度中に論文を投稿予定である.予想以上の成果がでてきたので,ミャンマー国の大河川について,調査を夏期に行うべく準備をしている
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Earth Planetary Science Letters
巻: 362 ページ: 198-206
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doi:10.1029/2012PA002311
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