研究課題/領域番号 |
22224009
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
川幡 穂高 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (20356851)
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研究分担者 |
西 弘嗣 東北大学, 学術資源研究公開センター, 教授 (20192685)
井上 麻夕里 東京大学, 大気海洋研究所, 助教 (20451891)
山岡 香子 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 研究員 (30610399)
鈴木 淳 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 研究員 (60344199)
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研究期間 (年度) |
2010-05-31 – 2015-03-31
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キーワード | 海洋酸性化 / 二酸化炭素 / pH / 生物起源炭酸塩 / 精密飼育実験 / 河川水 / 化学風化 / 栄養塩 |
研究概要 |
大気中の二酸化炭素が増大している.この気体は酸性気体なので地球温暖化のみならず海洋酸性化をもたらすと危惧されている.地球表層(大気圏,水圏,生態圏,岩石圏)システム全体の中で,海洋酸性化の位置づけ, pHを支配する地球システムと将来の生物圏への影響を明らかにすることが本研究の目的である. 沖縄周辺海域に多く見られるコユビミドリイシ(Acropora digitifera)のポリプ骨格を用いて、海水温を27~33℃まで4段階に設定して10日間の飼育実験を行った.31℃以上の高水温区では白化が見られ,骨格の成長も減少した. 29~31℃の間に高温ストレスの閾値があることが明らかとなった.子供と大人のサンゴの比較では幼サンゴについて大きな影響がでることがわかった. ヒマラヤ水系のエーヤワディー川,メコン川で採水調査を行った.水質に類似性が確認された. ケイ酸塩風化の寄与が大きいとされるヒマラヤ水系だが, エーヤワディー川は事前の予想に反し炭酸塩風化が卓越していることを示していた. 従って, 全球的な二酸化炭素消費におけるエーヤワディー川の寄与は先行研究の約1割と推定された.将来の温暖化に対しては, 化学風化よりも土壌有機物の生物活動による分解がより敏感に反応すると考えられる. 琉球石灰岩を帯水層とする地下ダムで進行している生物地球化学的プロセスを明らかにした.貯留水に卓越するのは,土壌呼吸由来の炭酸(二酸化炭素)が炭酸塩の溶解を効率的に進める風化反応である.さらに,農地に肥料として散布される硫安が酸として作用し,石灰岩の溶解が促進される.滞留時間が長いと思われる地点では,嫌気的状態で脱窒が生じていた. 古環境での海洋酸性化およびサンゴ骨格のICP-MSレーザーアブレーションシステムによる分析法の開発については,貴重なデータがでてきて,解析を行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定どおりに進展している.ヒマラヤ系の河川における中和機構の解明については計画以上に進展しており,現在,数本を国際誌に投稿している.
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今後の研究の推進方策 |
陸域における化学風化による中性化については,東南アジアの調査を5回実施して,現在,分析・解析中でである.2014年度中にはメコン川について,調査を実施する予定で準備をしている.
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