研究分担者 |
橘 省吾 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (50361564)
薮田 ひかる 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教 (30530844)
岡崎 隆司 九州大学, 大学院・理学府, 助教 (40372750)
野口 高明 茨城大学, 理学部, 教授 (40222195)
中村 智樹 東北大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (20260721)
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研究概要 |
初期太陽系における鉱物-水-有機物相互作用の研究のため,当初計画に従い,以下の研究を進めた.(1)走査型電子顕微鏡の導入(茨城大学):きわめて微少かつ貴重な試料を取り扱うため,試料導入室に低速排気の特殊機構を持たせることとした.装置は平成23年2月に納入されたが,直後に東日本大震災があり,装置を置いた部屋の天井が落下するというトラブルに見舞われた.幸い装置には問題はないと見込まれている.(2)円盤条件における相互作用実験のための装置設計(東京大学):鉱物-水相互作用についての予察的実験の結果,真空解放時の水滴付着という問題がおこりうることがわかり,設計をさらに進めている.熱力学的計算により,非晶質ケイ酸塩は結晶質物質にくらべ圧倒的に高温で水との反応がおこることを見出した.(3)南極雪から微隕石の抽出:当初予定に反し,きわめて少量の試料しか抽出されなかった.雪採取時のクリーン処理の問題であると判断した.しかし,すでに翌年度試料に関して,抽出を進めている.(4)始原的コンドライトの精査と有機物抽出:始原的炭素質コンドライトの岩石・鉱物学的検討をおこない,本研究の対象としてふさわしいいくつかの試料を同定し,それらの試料片の入手を進めている. これら当初計画以外に,以下の成果が得られた,(5)南極産宇宙塵の研究により,彗星起源および初期太陽系凝縮物と考えられる新しいタイプのものを見出した.(6)炭素質コンドライトマトリクスのマイクロXANES分析により,その場分析と抽出分析による有機物の系統的違いを明らかにし,本研究にとってきわめて重要な情報を得た.(7)極微少試料の同位体分析手法の開発に着手した.(8)本研究分担者の多くが,探査機はやぶさにより持ち帰られた小天体イトカワ由来の試料の分析に貢献した.
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