研究課題/領域番号 |
22225005
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
岡畑 恵雄 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 教授 (80038017)
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研究分担者 |
古澤 宏幸 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助教 (60345395)
高橋 俊太郎 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助教 (40456257)
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キーワード | 水晶発振子(QCM / 翻訳反応 / mRNA / 質量変化 / 翻訳効率 / 翻訳速度 |
研究概要 |
本研究の目的は、水晶発振子マイクロバランス(QCM)法を用いて翻訳反応を行い、翻訳の動力学解析を行うことである。 ストレプトアビジンを固定化したQCMセル内に開始因子(IF)、成長因子(EF)、tRNAやアミノ酸やtRNAアミノアシル化酵素を入れ、これにmRNAを加えるとセル内で翻訳が始まることを確認した。このときmRNAの開始コドンのすぐ下流に目的タンパク質をコードする配列(例えば緑色蛍光タンパク質GFPなど)、ストレプトアビジン結合ペプチド(SBP)をコードする配列を入れておけば、翻訳が進むにつれてタンパク質、続いてSBPがリボソームから顔を出し、SBPがQCM基板上のアビジンに特異的に結合し、QCMで質量が増加することが観察され、翻訳が進んでいることが確認できた。翻訳が平衡に達した後で解離因子(RF1)を加えるとリボソームがペプチドから離れて質量が減少して、基板上にはタンパク質とペプチドの質量分だけ残ることわかった。 最初の振動数減少(質量増加)は翻訳の速さを反映し、目的タンパク質の分子量を増加させるに従って「翻訳の遅れ」が観察されることもわかった。この翻訳の遅れから」翻訳速度が算出され、この系では10アミノ酸/秒と算出された。これは世界で初めて翻訳速度がその場測定できた例である。また、目的タンパク質をコードするタンパク質の配列の中にレアコドンを導入すれば「翻訳の遅れ」として観察されることも確認でき、レアコドンがあるときは翻訳速度が5アミノ酸/秒に低下することもわかった。これらの結果から、本手法は翻訳速度を求める優れた方法となることが明らかになった。
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