研究実績の概要 |
光パルス励起によって引き起こされる磁化の非平衡状態に関する研究では,第一に、新規光磁石素材Co/Pd極薄多層膜構造の弱励起強磁性共鳴の実験データを詳しく解析した結果,Coの磁気異方性だけでなくCo/Pd界面磁気異方性が光励起によってクエンチングする可能性が濃厚であるとの結論を得た.第二に,強磁性半導体(Ga,Mn)Asにおける非熱的過程の検証に関しては,詳細な検証によって,添加Mn自体が光励起で光イオン化する結果,磁気異方性が超高速で変化する機構を発見した.第三に,テラヘルツの時間領域へのアクセスに関して,強磁性半導体(Ga,Mn)Asを対象に,0.1から25ピコ秒程度の時間差をつけた光パルス連続実験を実施し,約1ピコ秒を境にして,それよりも短い時間領域では第二光パルスによって才差運動開始時間を遅延させることが可能であることを世界に先駆けて見出した。これらの成果は,H27年度に開催された国内外の研究集会で発信されるとともに、英文学術論文として発表した. 磁化の非平衡状態を応用を探る研究では,GdFe薄膜を光ファイバーコア上に堆積させた磁気複合型導波路において,導波モード光に応じて磁気光学効果の程度が変化することを実験的に明らかにし英文学術速報論文として発表した.基板上に平面導波路を形成してマッハ・ツェンダー干渉計とCo/Pd薄膜を組み合わせたデバイス試作研究に着手した。このために、本学水本・庄司研との協力関係を築いた.加えて,GdFe・透明誘電体膜構造に作製して,エバネッセント光による磁気光学効果の増強効果の有無を検討した。現在,論文化を進めている. スピン発光ダイオードの研究を推し進めた結果,円偏光100%近いエレクトロルミネッセンスを室温で得ることに世界に先駆けて成功した.学術・応用両面で革新的成果と思われる.この成果の一部をH27年度SPIE会議で発表し,目下一流英文学術誌に投稿中である.
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