研究課題/領域番号 |
22226005
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
遠藤 勝義 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90152008)
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研究分担者 |
打越 純一 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90273581)
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研究期間 (年度) |
2010-05-31 – 2014-03-31
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キーワード | 形状測定 / 高精度ミラー / 非球面ミラー / 法線ベクトル / ナノ精度 / 形状誤差 / 走査型形状測定装置 / 5軸同時制御 |
研究概要 |
極紫外光(波長13.5nm)を用いたリソグラフィー、多くのデジタル映像機器からは、多様な形状を持つ高精度ミラー・レンズが要請されている。本研究の目的は、平面から平均曲率半径10mm以下の自由曲面の形状を、測定精度1nm PV以上、スロープエラー0.1μrad以下、測定時間5min/sample以下で測定できる法線ベクトル追跡型高速ナノ形状測定法を開発することである。提案した形状計測法は、レーザーの直進性を活用し、光源から出射されたレーザービームがミラーに反射されて、光源の位置にある検出器の中心に戻るように2軸2組のゴニオメータを制御して、ミラーの任意測定点(座標)の法線ベクトルを測定することから形状を求める。そのため、従来の干渉法と異なり基準面を必要としない。 高速ナノ形状測定装置の精度を支配するロータリーエンコーダを国家標準器によって絶対校正した結果、各ロータリーエンコーダは、装置取付け時の偏心や負荷の影響を考慮しても校正の確からしさは±0.12μradである。また、波動光学シミュレーションによって検出器上でレーザー光強度がガウス分布になる光学配置を設計し、平均曲率半径10mmから平面までの形状測定を可能にする光学ヘッドを新たに製作した。そして、校正したロータリーエンコーダと新しい光学ヘッドを搭載した高速ナノ形状測定装置を完成した。 そして、本装置によって、R=400mm, 1000mm凹球面ミラーとR=46.8mm基準球、平面ミラーの形状を測定した。R=400mm凹球面ミラーの測定結果は、再現性が0.85nmPVであり、形状誤差の絶対値は、フィゾー干渉計による結果と、それぞれの系統誤差範囲内である5nm PV以下で一致した。R=1000mm凹球面ミラーとR=46.8mm基準球、平面ミラーの形状測定に関しては、再現性は、1nm PV以上に至っていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成19~22年度科学研究費基盤研究(A)から引続き開発しているラスター走査型プロトタイプ超精密形状測定装置および試料B軸回転走査型高速ナノ形状測定装置の二つの形状測定装置を完成した。それに伴い、(x,z)座標系および(r,θ)座標系による形状導出アルゴリズムの開発に成功した。また、高速ナノ形状測定装置のロータリーエンコーダを産業技術総合研究所の国家標準器によって絶対校正した結果、各ロータリーエンコーダは、装置取付け時の偏心や負荷の影響を考慮しても校正の確からしさは世界最高の±0.12μradである。 超精密形状測定装置では、R=400mm, 1000mm凹球面ミラーと平面ミラーをラスター走査超精密形状測定装置によって形状測定した。その結果、再現性は、それぞれ0.85nmPV, 1.50nmPV, 1.27nmPVであった。R=400mm凹球面ミラーを除いて、再現性は、1nm PV以上に至っていない。なお、走査ライン毎の測定環境の温度の影響が明らかであるため、温度および空気の流れを考慮した測定環境の安定性を改善する必要がある。高速ナノ形状測定装置では、R=46.8mm基準球の形状を測定した。再現性は、5.5nmPVで試料回転B軸の運動誤差を形状誤差と分離して測定する必要がある。一方、系統誤差は、装置ステージ系の組立誤差および各軸の運動誤差の測定が必要である。なお、装置ステージ系の組立誤差および各軸の運動誤差の測定の手順は明らかである。 このように、測定環境の向上で再現性の目標1nm PV以上が達成できる。さらに、装置ステージ系の組立誤差と運動誤差が測定でき、系統誤差が明らかになれば、目的である非球面光学素子の形状測定が可能になる。ロータリーエンコーダの絶対校正により、高速ナノ形状測定装置の製作が計画より遅れたが、目的達成に向かって順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本形状測定法は、従来の干渉法と異なり基準面を必要とせず、原理的に測定形状に制限がなく、自由曲面の絶対形状測定が可能になる。一方で、ロータリーエンコーダの精度と装置ステージ系の組立・運動誤差が、形状測定精度を支配する。そこで、ラスター走査型プロトタイプ超精密形状測定装置および試料B軸回転高速ナノ形状測定装置おいて、形状測定の再現性1nm PV以上を目指すとともに、装置ステージ系の組立誤差と運動誤差に基づく系統誤差を測定してそれを校正するデータベースを構築する。 形状測定の再現性に関しては、レーザー光の直進性を乱す測定環境における空気の密度分布の変動を除去するために、温度および空気の流れを高度に制御する。これによって、形状測定の再現性1nmPV以上を達成することができる。 さらに、形状測定の絶対精度を保証するためには、装置ステージ系の組立誤差と運動誤差に起因する系統誤差を定量的に明らかにする必要がある。特に、光学系2軸と試料系2軸のゴニオメータの相対的運動誤差を測定することが不可欠である。また、高速ナノ形状測定装置における試料回転B軸の運動誤差の測定は重要である。このように測定した系統誤差に基づき測定値を補正する校正データベースを作り上げる。さらに、光路長L等の一部の測定ができない系統誤差に関しては、自律校正法を確立する。 そして、プロトタイプ超精密形状測定装置および高速ナノ形状測定装置によって、形状誤差が既知の基準球や基準平面ミラーを、本系統誤差データベースを用いて、絶対形状測定することから、本装置の性能を評価する。また、干渉計測が可能な特殊な形状の非球面ミラーおよび次世代の非球面ミラーをナノ精度で絶対形状測定する。
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