研究概要 |
本研究では,研究代表者の提案したMEMS構造集積化による絶対波長安定化(アサーマル)面発光レーザアレイ,光群速度低下させて素子サイズを大幅に小型化して高速化を図るスローライト光検出器/光変調器をキイデバイスとして,その並列アレイ化,多波長集積化,超高速化,低消費電力化を進めて,現状技術の100倍から1000倍の超大容量(100Gbps-1Tbps)の光リンク/光配線のための革新的な集積光デバイスの開発を行い,高速化と低消費電力化を両立する集積フォトニクスの進化を目指し,平成23年度は,以下の研究成果を得た. 多波長面発光レーザとテーパ中空導波路合波器を用いた合波デバイスを実現し,素子長200μmの微小回路で,12チャネルの多波長合波の可能性を実証した.また,MEMS構造を集積することで波長が温度に依存しないアサーマル面発光レーザを製作し,通常の半導体レーザの約1/40の小さな波長温度係数を実現するとともに,局所加熱による1.1nmの連続波長掃引を達成し,温度制御不要の多波長集積化光源の可能性を示した.さらに,スローライト伝搬を利用した小型光スイッチを試作し,構造分解散による巨大な等価屈折率変化を実現して,大きさ30μm角の小型光スイッチの動特性から,キャリア注入によるナノ秒オーダの高速スイッチングが可能であることを実証した.さらには,新しい機能デバイスとして,大きな構造分散を用いたビーム掃引・空間スイッチング素子を提案・試作し,解像点数200を越える高解像度スイッチング素子の動作に成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MEMS集積による面発光レーザの絶対波長安定化とともに,熱光学効果を用いた連続波長掃引技術の両立を達成するとともに,12波長規模の小型合波器との集積化も実現し,23年度の当初目的をほぼ達成したと考えている.さらには,面発光レーザとスローライト光変調器・増幅器の横方向集積を初めて実現するとともに,スローライト増幅器を用いた世界最高レベルの高解像度光ビーム掃引技術を実現するなどの進捗が得られた.
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度までに得られた研究成果を基に,以下の研究を推進する. 1)絶対波長制御技術の確立:マイクロマシンを用いた面発光レーザによる波長制御技術を用いて,さらにその高精度化,波長掃引機能の付加を進める.2)面発光レーザレーザへの機能集積とスローライトフォトニクス:面発光レーザとの新しい結合方法をさらに追究し,スローライトフォトニクスによる高速光変調器集積光源のSub-Voltの低電圧化,高速化,低消費電力化を進め,低消費電力化と高速化の限界を探る.3)高解像度光ビーム掃引と光スイッチングベの展開:スローライト伝搬を用いた光スイッチの小型・集積化,新しい高解像度ビーム偏向技術など,新機能の創出を具現化し,新しい光スイッチングデバイスとその集積化の展開を図る.
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