研究課題
(1)基本変態特性評価(電気抵抗、磁気特性、変態潜熱など):計画する全合金系に関して、平成25年度と同様の研究を遂行した。本年度は、NiTi基系でありながら既に測定したB19’構造とは異なるB19構造のマルテンサイト変態に関してNiTiCu系合金を用いて低温実験を実施した。その結果、NiTiで報告されてきたと同様の電気抵抗の異常が確認された。(2)機械特性評価(超弾性特性、兄弟晶界面や晶癖面の移動度など):計画する全合金系に関して、引き続き平成25年度と同様の研究を遂行した。本年度は、NiTi基系でありながら既に測定したB19’構造とは異なるB19構造のマルテンサイト変態に関してNiTiCu系合金を用いて一定応力下で温度変化させる等、今までと異なる手法を用いた実験も実施した。(3)相変態の組織学的評価:25年度に引き続き、TEM低温応力印加ホルダーを利用して低温域における組織及び構造解析を行った。具体的には、B19変態を起こす前に明確な前駆現象が確認されたNiTiCu合金について、プレマルテンサイト相の出現温度領域におけるその場観察を行った。その結果、NiTiと同様にインコメンシュレート状態と考えられる状態が確認できた。(4)熱力学的解析と組織シミュレーション:25年度に引き続き、磁場や応力下でのクラジウス―クラペイロンの関係を利用して、(1)や(2)で得られた実験結果から各合金系における変態エントロピー変化の温度依存性を推測した。特にNiTi系に関して実験で得られた比熱実験データに基づき、自由エネルギーの温度依存性を定量的に評価し、インコメンシュレート状態が及ぼす熱力学的寄与を明確にした。特に、変態エントロピー変化を実験的に評価し、自由エネルギー変化をシミュレートできたことは、変態の理解を深める上で貴重な成果となった。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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