研究課題
Cu合金のリフローに関しては、線幅と線間隔が共に28nmの配線パターンを有する基板を用いて、種々の温度においてCu、Cu-Al、Cu-Ti、Cu-Mn合金のリフロー試験を行った。CuとCu-Al合金は埋め込みができず、Cu-Ti合金は埋め込みができたものの不完全であり、Cu-Mn合金は完全な埋め込みができた。選択したCu合金はいずれも酸化物形成自由エネルギーが大きく界面偏析の駆動力となるが、AlとTiはCu合金中の活量係数が非常に小さいため、強い化学的相互作用が働き、期待する程度の界面偏析が生じない。これに対してMnは活量係数が大きくCuとの相互作用が弱いため容易に界面偏析が生じ、良好なリフロー埋め込みを実現できた。リフロー配線の粒径を測定したところ、他の方法で埋め込んだ配線の粒径より2~3倍大きかった。表面・界面と粒界による電子散乱効果の数値を用いてリフロー配線の抵抗を計算したところ、従来法によって形成した配線と比較して1/2~1/3の低抵抗になることが判明した。一方、化学気相成長法によるバリア層の形成に関しては、配線形成工程を想定した表面処理を行ったポーラスLow-k基板を用いて、Mn酸化物の形成挙動を調査した。行った表面処理は、酸素プラズマ、炭化修復、ポアシールである。前者二つの表面処理を行ったLow-k層中にはMnが浸透していた。電気特性の測定を実施してMnが浸透したLow-k層の漏れ電流と比誘電率を測定したところ、成膜前後で変化がみられなかった。通常はLow-k中に金属元素が進入すると顕著な漏れ電流が観測され、比誘電率が上昇するため、非常に特異な結果である。Mn濃度がさらに増加して自己形成バリア層組成のMnSiOxとなれば、比誘電率を劣化することなくLow-k層自体が拡散バリア機能を有するという驚くべき結果となる可能性があり、今後の詳細な研究が期待される。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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