研究課題/領域番号 |
22226014
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
佐宗 章弘 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40215752)
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研究分担者 |
酒井 武治 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90323047)
松田 淳 名城大学, 理工学部, 准教授 (80415900)
酒井 康彦 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20162274)
横田 茂 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30545778)
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研究期間 (年度) |
2010-05-31 – 2015-03-31
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キーワード | 超音速流れ / レーザー / 揚抗比 / ソニックブーム / 乱流 |
研究概要 |
本研究は、超音速流れに低パワーの高繰返しエネルギーパルスを付加し、圧縮性流れの性質を活用した新しい流体力学的機能を創成、その原理実証を行ない、飛躍的な空力性能の向上を実現、応用への展望を開くことを目的としている。平成25年度は、下記の具体的な研究成果が得られた。(1)対向式衝撃波管を用いて格子乱流と平面衝撃波の干渉実験をできるシステムを開発し、基礎データを取得する実験を行った。(2)同じく対向式衝撃波管を用いて、繰返しレーザーパルスが生成する低密度場と垂直衝撃波の干渉実験が可能なシステムを構築し、プリカーサー効果を検証するための基礎データを取得した。(3)マッハ2の流れの中におかれた、円柱‐フレアモデルにおいて、繰返しレーザーパルスによる低密度領域が、衝撃波‐境界層干渉に大きな影響を与えることを見出し、剥離の抑制にも有効であることを見出した。(4)バリスティックレンジによって、三次元有翼飛行体モデルを姿勢よく射出することができる、「管内カタパルト射出法」を開発し、実証実験を行った。(5)衝撃波管を用いた放電‐衝撃波干渉実験を行い、衝撃波圧力変調効果を確認した。(6)乱流が衝撃波を通過した背後で、その特性が変化することを理論的に調べ、いくつかの実験結果を説明することが可能となった。これらの中で、(3)については当初予測していなかった大きな成果であり、また対向衝撃波管、管内カタパルト射出法についても、実験を遂行していく過程で得られたinnovationである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
繰返し加熱による衝撃層の圧力変調については、当初の計画通りに流体力学的メカニズムの解明とスパイク付き鈍頭物体など新規性のある方策を見出しており、当初の見込み以上の成果が挙がっている。さらに、平成25年度は、衝撃波‐境界層干渉に大きな影響を及ぼし剥離の制御に応用できるという、非常に重要な新しい知見が得られた。ただし、揚抗力比の向上については、当初の見込み以上に実現が難しく、解決策が見出されていない。対向衝撃波管の利用、管内カタパルト射出法の開発など、当初見込んでいなかった実験法の向上もいくつか実現しており、最終年度に向けての準備は着々と進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である平成26年度は、大型衝撃波管を対向式に拡充し、衝撃波‐乱流干渉やプリカーサー効果の検証実験に大いに活用して成果を挙げる予定である。また、これまでの実験はマッハ数2に限定されていたが、数値シミュレーションの結果によれば、流れのマッハ数を高くするとエネルギー付加の効果が飛躍的に向上することが予測されている。これに対して、マッハ数3.5の噴出し式風洞を用いた実験を早く立ち上げて、年度内に研究成果を挙げる見込みである。さらに、三次元形状モデルを姿勢よく射出できるようになったバリスティックレンジを活用し、ソニックブームに対する効果についても、系統的な実験を行う。以上の方策によって、本研究全体としての成果をまとめ、適宜論文発表を進めて行く。
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