研究概要 |
1. ミトコンドリア外膜トランスロケータサブユニットTom22の相互作用マッピング ミトコンドリア外膜のトランスロケータTOM40複合体の中心因子であるTom22および受容体としてのパートナーTom20の様々な部位に,in vivoで部位特異的に,光架橋性アミノ酸BPAを導入した。紫外線照射によりBPA近傍のタンパク質との架橋を行い,架橋産物を抗体で検出・同定した。さらに基質である前駆体をTOM40複合体に膜透過中間体として蓄積させ,Tom22,Tom20,Tim50の相互作用マッピングのパターンがどのように変化するかを解析した。この結果に基づき,Tom22とTom20が協力してプレ配列を認識する仕組み,Tom22の膜間部ドメインから内膜トランスロケータTim50に引き渡される仕組みを検討した。 2. ミトコンドリア膜間部のジスルフィドリレーシステムの構造生物学的解析 ミトコンドリア膜間部のTim40は可溶性のタンパク質にジスルフィド結合を導入する。Erv1は還元型Tim40を再酸化し,このシステムの回転を持続させる。今回Tim40と基質由来のペプチドの融合タンパク質についてX線構造を決定し,基質認識機構を明らかにした。さらに酵母Erv1のコア部分の二量体のX線構造を決定し,構造決定できなかったN端ループ部分(シャトルジスルフィドを含む)がTim40からErv1コア部分へと電子を伝達する仕組みを考察した。このモデルを検証するために,シャトルジスルフィドを含むループを短くしたErv1,短くしたループをErv1のC端につけた変異体などを作成し,Erv1欠損株の増殖欠陥を相補するかどうか,検討した。
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