研究実績の概要 |
1)電子線結晶学を用いて解析したAQP4の構造から明らかになったホモフィリックな接着性の生理的機能を解明するために、接着を担う310へリックス部分を、接着性のないAQP1の相当部分に改変したキメラAQP4を発現するマウスを作製し、その視床下部のグリアルラメラの超薄切片を作製して観察した結果、WTでは接着しているグリア細胞がそのキメラAQP4を発現するマウスの細胞が離れていることを様々な条件で確認した。 2)電位感受性Na+チャネルの構造を高分解能で解析して、そのチャネルの選択機能を担うポア部分における複雑な密度を有する構造を観察した。 3)ギャップ結合チャネルの構造と機能解析を進め、コネキシン26の構造解析によってプラグgatingモデルを提唱したが、無脊椎動物のギャップ結合でもこのモデルが成り立つか検証するために、イネキシンを昆虫細胞で発現し精製する系を立ち上げ、その2次元結晶を作製して、電子線結晶学による構造解析を行った。 4)アセチルコリン受容体の構造機能解析については、研究目標を達成し論文も発表したので、細胞を接着するタイトジャンクションにおいてカギとなるClaudinの構造解析を行って、論文:Science 344, 304-307 (2014)として発表した。さらに、タイトジャンクションの構造モデルを論文:JMB, 427, 291-297 (2015)として発表した。さらに、ウェルシュ菌の毒素とClaudinとの複合体の構造を解析し、論文:Science 347, 775-778 (2015)として発表した。 5)H+,K+-ATPaseの数種類の構造を解析してそれらを比較することによって、A-M2リンカーの重要性を解明し、論文:JBC, 289, 30590-30601 (2014)として発表した。
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