研究課題/領域番号 |
22228001
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
河田 照雄 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (10177701)
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研究分担者 |
高橋 信之 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (50370135)
後藤 剛 京都大学, 学内共同利用施設等, 助教 (10550311)
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研究期間 (年度) |
2010-05-31 – 2015-03-31
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キーワード | 肥満 / エネルギー代謝 / 脂肪細胞 / 褐色脂肪 / メタボリック症候群 |
研究概要 |
1) 組織型褐色脂肪および非組織型褐色脂肪の発生・発達機構のマウスおよびその遺伝子発現情報を用いた解析 (1-a) 褐色脂肪特異的蛍光タンパク質レポータートランスジェニックマウスの作製と機能評価:当初の目的であるUCP1-mRFP BAC Tg マウスが作製できあがり、現在、より蛍光シグナルが高いlineの選抜を行っている。 (1-b) 組織型褐色脂肪および非組織型褐色脂肪の発生・発達機構解明のための遺伝子発現解析:バイオインフォマティクスの専門家である連携研究者の支援により、DNAマイクロアレイ法およびRNA-Seq解析を用いて本研究の本質的なテーマである異所性UCP1の発現制御機構と関連性の深い遺伝子が複数見出された。 2) 新規褐色脂肪細胞株を用いた詳細な細胞分化、増殖の分子機構の解明 肥満状態の脂肪組織では、マクロファージ由来TNFαがERKの活性化を介して、脂肪細胞におけるUCP1発現誘導を抑制する可能性が新規褐色脂肪細胞株を用いて示すことができた。このことは、肥満時の白色脂肪組織でのマクロファージに由来する炎症反応が、非組織型褐色脂肪の退縮に極めて重要な役割を果たしていることを示唆するものであり、これらの知見により、当初の第一の研究目標を達成できた。 3) 褐色脂肪の発生、機能増強をもたらす食品成分や化合物の系統的解析と応用基盤の確立 EPAリッチ魚油およびDHAリッチ魚油摂取両群において、非組織型褐色脂肪である鼠径部脂肪組織においてはUCP1の発現の顕著な発現増加が認められるとともに、種々の実験から魚油摂取により末梢交感神経活動の亢進が惹起されることが示唆された。さらに、脂肪細胞での脂肪分解とUCP1誘導に関わるアドレナリン受容体β3の遺伝子発現の有意な増加が褐色脂肪で認められたことから、魚油摂取が交感神経活動を活性化し、非組織型褐色脂肪することが明瞭となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ、交付申請書に記載した計画通り進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
1) 組織型褐色脂肪および非組織型褐色脂肪の発生・発達機構のマウスおよびその遺伝子発現情報を用いた解析 (1-a) 褐色脂肪特異的蛍光タンパク質レポータートランスジェニックマウスの作製と機能評価:現在選抜中のUCP1-mRFP BAC Tg マウスを用いて非組織型褐色脂肪の発生の検討を行なうことで当初の第一の目標は達成される。さらに、この刺激に伴うシグナルの誘導が確認出来次第、食品成分や薬剤を用いて、褐色脂肪細胞の発生過程・機能亢進、さらには加齢や炎症反応による退縮をTgマウスでモニターし、研究目標を達成する予定である。 2) 新規褐色脂肪細胞株を用いた詳細な細胞分化、増殖の分子機構の解明 現在までの成果を踏まえて、肥満および加齢マウスのin vivoレベルでの抗炎症をもたらす食品素材(研究代表者らは他の研究で既に複数の抗炎症食品素材を明らかにしている)や薬剤(ポジティブコントロール)を用いて非組織型褐色脂肪の退縮の抑制を確認し、最終的な研究目的を達成する予定である。 3) 褐色脂肪の発生、機能増強をもたらす食品成分や化合物の系統的解析と応用基盤の確立 現在までの成果を踏まえより詳細なメカニズムの解析を行うことにより、最終的な研究目標を達成する予定である。
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