研究課題/領域番号 |
22228002
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
立花 宏文 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (70236545)
|
研究分担者 |
藤村 由紀 九州大学, 先端融合レドックスナビ研究拠点, 准教授 (20390304)
田中 浩士 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (40334544)
栗山 進一 東北大学, 医学系研究科, 教授 (90361071)
|
キーワード | 食品因子 / 食品機能 / 感知分子 / 分子疫学 / ケミカルバイオロジー / イメージング / 緑茶カテキン |
研究概要 |
本研究課題は生体が機能性食品因子を感知するメカニズムを解明することを目的として、 1)機能性食品因子の生体内標的分子とその関連分子(機能性食品因子感知関連分子)の同定、2)食品因子の生理機能発現の生体内イメージング、3)食品因子のメタボロミクスと感知メカニズムの統合解析、4)食品因子の感知システムの分子疫学的検証の各観点から研究を行った。 感知分子の同定に関し、共役リノール酸の感知関連分子として4種類の候補遺伝子を同定することに成功した。また、昨年同定した緑茶カテキンEGCGのがん細胞増殖抑制作用に関与する感知関連分子候補の機能解析を行った。 緑茶カテキンEGCGの機能性発現過程を可視化するためのプローブとしてEGCGの蛍光標識体の合成を目的とし、まず、EGCGの機能性を損なわない修飾部位の特定を試みた。その結果, EGCGの各水酸基をメトキシ基に置換したEGCG修飾体ライブラリーを作製し、そのがん細胞増殖抑作用ならびにEGCG感知レセプター67LR依存性のシグナリング誘導能から、5位ならびに7位の水酸基はEGCGの活性発現に関与していないことが見出した。 機能性食品因子の生体組織における二次元可視化に向けた MALDI 質量分析イメージング技術の最適化に必須な食品因子のイオン化を可能とするイオン化助剤・マトリックスの探索し、緑茶カテキン EGCG を標品ベースで高効率にイオン化できる数種のマトリックスの中から,naphthalene 誘導体のみがEGCG を組織切片上で可視化できることを発見した。 緑茶抽出物を摂取後12時間後のヒト末梢血リンパ球における緑茶カテキン感知関連遺伝子発現を検討した。その結果、緑茶の摂取形態(抽出物、粉末、併せて摂取する食品など)もEGCGセンシングに関与する遺伝子発現量に影響を与えることを明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)機能性食品因子の生体内標的分子とその関連分子(機能性食品因子感知関連分子)の同定、2)食品因子の生理機能発現の生体内イメージング、3)食品因子のメタボロミクスと感知メカニズムの統合解析、4)食品因子の感知システムの分子疫学的検証の各観点から研究を遂行し、いずれの研究項目においても計画通りの成果が得られている。
|
今後の研究の推進方策 |
これまで通り,1)機能性食品因子の生体内標的分子とその関連分子(機能性食品因子感知関連分子)の同定、2)食品因子の生理機能発現の生体内イメージング、3)食品因子のメタボロミクスと感知メカニズムの統合解析、4)食品因子の感知システムの分子疫学的検証の各観点から研究を遂行する。 緑茶カテキンセンシング経路の解析は他の機能性食品因子感知機構の研究を進める上でパイロット研究としての役割を果たしており,この研究を軸として展開していく予定である。
|