研究課題/領域番号 |
22228004
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
河野 友宏 東京農業大学, 応用生物科学部, 教授 (80153485)
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研究分担者 |
鈴木 穣 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (40323646)
外丸 祐介 広島大学, 学内共同利用施設等, 教授 (90309352)
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研究期間 (年度) |
2010-05-31 – 2015-03-31
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キーワード | エピゲノム / 生殖系列 / 次世代シークエンサー / 始原生殖細胞 / DNAメチル化 |
研究概要 |
本研究は、哺乳類の雌雄生殖系列におけるエピゲノム情報のリプログラミングを解明するため、次世代シークエンサーを用いて遺伝子発現制御の主要因であるDNAメチル化の包括的解析を実施した。昨年度までに、雌雄生殖細胞および始原生殖細胞におけるDNAメチロームマップを作成し、成果を報告した。 本年度は、より正確で再現性が高いDNAメチルーム解析としてPBAT(post bisulfite adapter tagging)法の検証を実施した。この方法では、bisulfite 処理によるDNAの損耗が少ないこと、PCRによる増幅を行なわないことの利点があり、より精度が高く、かつ少量(1000細胞)のDNA量で解析が可能であることを実証した。また、より効率的かつ経済的にDNAメチローム情報の取得が可能であるSureSelect(Agilent Technology 社)を用いて精子ゲノムの解析を実施し、PBAT法と高い相関が得られるデータの取得が可能であることを示した。 さらに、受精後の脱メチル化についても検証をすすめ、受精卵および初期胚のDNAメチロームマップの作成に着手した。また、脱メチル化に重要なDNA 5-hydroxymetylated cytosine(5hmC)を免疫染色法により検出し、成長卵子に至までに5hmC が生成されることを明らかにした(投稿中)。その他、生殖細胞のメチローム解析から明らかになった新規インプリント(GPR1-GPR1AS-ZDBF2)領域におけるlong non-coding RNA であるZbdf2lincの解析を進め、周辺のタンパクをコードするインプリント遺伝子の発現制御に関与している可能性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究は順調に進展しており、すでに当初の目標を大きく上回る成果を上げていることから、昨年度から、新たな研究課題に挑戦し当該分野の発展に貢献する展開を図っている。当該研究分野は、ハードおよびソフトの両面において技術革新がすこぶる早く、新たな解析手法の開発、検証にも精力的に取り組んでいる。生殖細胞におけるDNAメチローム解析研究では、我々のデータが頻繁に引用され、世界的にも当該領域の研究の進展に貢献している。
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今後の研究の推進方策 |
生殖系列におけるさらに詳細かつ信頼度の高いDNAメチロームマップの作製を進める。また同時に、効率的、経済的かつ精度の高い解析方法の確立を進める。さらに、エピゲノム変異のトランスジェネレーショナルについて、体細胞クローンマウスをモデルに研究を展開する。研究最終年度であることからできるだけ速やかに成果の論文かを進める。
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