研究課題/領域番号 |
22229001
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
原島 秀吉 北海道大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (00183567)
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研究分担者 |
山田 勇磨 北海道大学, 大学院・薬学研究院, 助教 (60451431)
渡慶次 学 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (60311437)
篠原 康雄 徳島大学, 疾患ゲノム研究センター, 教授 (60226157)
小暮 健太郎 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (70262540)
紙谷 浩之 愛媛大学, 理学部, 教授 (10204629)
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キーワード | ナノパッケージング / pH-感受性カチオニック脂質 / 還元環境応答性 / ミトコンドリア送達 / ハイドロダイナミクス法 / 自己活性化システム / バイセル |
研究概要 |
H23年度は、多重膜MENDの外膜組成として、pHに応答性、かつ、細胞内の還元環境下で切断される新規脂質(SS-cleavable pH-activated lipid-like materials ; Palmss)を合成した。本脂質は、従来のpH依存的カチオン性脂質DODAPと比較して高い遺伝子発現を誘起した。並行して、負電荷バイセルを調製し、正電荷siRNAナノ粒子表面へパッチワーク様に静電結合させ、一枚膜MEND(P-MEND)の構築に成功した。京大理(藤吉教授)の極低温電子顕微鏡観察により、P-MENDが一枚膜構造であることを確認した。NanoPackagingに関しては、シースフローによるMEND溶液の集束と、フリーフロー電気泳動を用いたマイクロチップを開発した。 MT標的型DDSの機能評価に関しては、DF-MITO-PorterがMT選択的・効率的な分子送達が可能となった。また、ハイドロダイナミクス法を利用した骨格筋MTへの核酸送達にも成功した。一方で、ミトコンドリアに送達させたタンパク質や核酸の機能を解析するために、[35S]Metを用いてタンパク質の標識方法を確立した。また、ミトコンドリア標的RNAアプタマーのセレクションに成功し、単離ミトコンドリアに対して強く結合することを確認した。 機能性核酸の設計については、自己活性化システムの(1)内在性蛋白質reporterへの変更、(2)GAL4-内在性転写因子のactivatorとしての利用、(3)miR142-3p標的配列のactivatorへの導入を行い、silencingは外来遺伝子産物に対する免疫反応以外の未知の要因によって誘発されることを明らかとした。脂質アジュバントとしてα-Galactosylceramideを搭載したMENDの機能評価を行い、マウスへ静脈内投与した際の血清中INF-γ濃度が5倍以上上昇した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1枚膜コーティング法の確立、Nanopackaging法の確立を中心にパッケージング法を確立することに成功した。また、核送達、ミトコンドリア送達についても順調に進展している。また、MENDに搭載する機能性核酸の設計に関しても目標を達成しているので、順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
紙谷准教授が愛媛大学理学部の教授に栄転し、また、渡慶次准教授が北海道大学工学研究科の教授に栄転し、それぞれ本研究に継続的に参画している。さらなる研究体制の強化を目指し、中村助教(北大)、馬場嘉信教授(名大)、松尾講師(北大)が新たに参画することになった。
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