研究概要 |
本研究課題ではα-Klotho、β-Klotho、FGF19 subfamily等、関連分子間の特異的認識機構を解明し、これらの分子の分子機能、生理機能解明の分子基盤とすることを目的としており,以下の結果が得られた。 課題1:FGF23とα-Klothoとの複合体形成に寄与する糖鎖を同定し,該当する糖鎖構造決定した。一方、また、糖鎖がa-klothoの構造変換を誘導し、安定な結合をもたらす事を解明した。 課題2:FGF21が膵臓に集積する事を発見し、結合タンパクを同定した。 課題3:α-Klothoは上皮小体、腎遠位尿細管、脈絡叢においてNa+, K+ATPaseと結合しているが、α-KlothoはNa+, K+ATPase Complexのなかでも糖鎖末端にグルクロン酸が付加されたタイプののβ-subunitと選択的に結合している事を確認した。 課題4:β-Klothoも発現細胞(肝臓、脂肪組織、すい臓)においてNa+, K+ATPase、アミノ酸トランスポーターと結合している。分化誘導した脂肪細胞(3T3L1細胞)を用いて解析した結果、非必須アミノ酸を添加によりNa+, K+ATPase活性が上昇する事を見いだした。 課題5:α-Klotho、β-Klotho結合タンパクを網羅的に解析し、これらの結合タンパクにはHNK-1抗体が結合するグルクロン酸修飾された糖鎖を含まれていることを見いだした。 課題6:α-Klotho変異マウスでは、ビタミンDの過剰合成、高リン、高カルシウム血症の下流でタンパク分解が亢進しており、その阻害剤を投与する事によりα-Klotho変異マウスで観察される動脈の石灰化、肺気腫、皮膚の老人性萎縮等の発症が抑えられる事を見いだした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
FGF23とα-Klothoの複合体形成に関する結論を出し、induced-fit modelの提出にいたった。一方、α-KlothoとNa+,K+ATPase β-subunitが選択的に結合する機構についても基本的な理解に到達した。また、β-KlothoによるNa+,K+ATPaseの機能制御機構の一端が明らかとなった。更にα-Klotho変異マウスで観察される動脈の石灰化、肺気腫、皮膚の老人性萎縮等の発症を抑える化合物を同定した。よって、研究は十分に進展しており、おおむね順調に進展していると判断した。
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