研究課題
研究結果を以下に記載する。(1】糖鎖末端がグルクロン酸修飾をうけているNa+,K+ATPase、FGFR1、その他のα-Klotho結合蛋白質が優先的に複合体を形成することを明らかにした。(2)FGF23の198番アミノ酸に結合する糖鎖がα-Klothoとの結合に重要であることから、その構造を決定した。また、この糖鎖は単独で直接α-Klothoに結合すること、結合することによってα-Klothoの構造変換をもたらすことを見いだした。(3)α-Klothoを大量合成ベクターに繋ぎ、Hec細胞で大量生産した。次いで、結晶化の条件を検討し、解析可能な結晶を取得し、スイスの解析施設に運び、結晶構造の解明に成功した。α-Klothoは2つのドメインからなっており、その中心にFGF23の糖鎖を結合するKl1ドメイン、Na+,K+ATPase、FGFR1などが結合するKl2ドメインがあり、複数のタンパクが結合するKl2ドメインの方がより可変性が高いとの結果がえられた。また、FGF23が結合できない変異α-Klothoでは、変異アミノ酸が糖鎖結合部位に影響を与えていることを確認した。(4)FGF23の198番アミノ酸に結合する糖鎖とα-Klothoが結合した共結晶構造を解析した。次いで、糖鎖の構造がα-Klothoの構造変化をどのようにもたらすのかを分子動力学的解析によりシミュレートする予定である。(5)α-Klotho変異マウスではビタミンD亢進の下流でカルパインが活性化されており、変異表現型の重要な要因であることを結論した。(6)肝臓でb-Klothoを特異的に発現するトランスジェニックマウスを作成し、ノックアウトと掛け合わせて、肝臓における機能を解析した。
2: おおむね順調に進展している
課題であった結晶構造解析に成功し、かつ、糖鎖とクロトーの共結晶の解析も進んでおり、大きな進展があった。また、カルパイン阻害剤がクロトー変異表現型をほとんど改善することが明らかに明らかになり、ビタミンDの過剰合成、カルパインの活性化が変異表現型の重要な要因であることも明らかになった。また、肝臓におけるβクロトーの役割の解析が進み、単に胆汁酸合成の亢進が体重減少の要因でないことも明らかになった。一方、 FGF21の機能解析については、遅れがあり、総体としておおむね順調に進展していると判断した。
(1)FGF23の糖鎖がαークロトーに結合すると、どのような分子機構で、その構造変換がもたらされ、FGG23とαクロトーの結合が安定するのか、(2)αークロトー/FGF23/FGFR1からなる3者複合体の構造解析を進める。(3)βークロトーの結晶化を進めており、構造決定に進みたい。(4)βクロトーは胎児においても重要な役割を担っており、その機能を解析する。(5)FGF21の機能の一端を明らかにする。
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