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2013 年度 実績報告書

クロトーファミリーの分子機能解明を基盤とした代謝の臓器相関に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 22229003
研究機関公益財団法人先端医療振興財団

研究代表者

鍋島 陽一  公益財団法人先端医療振興財団, その他部局等, センター長 (60108024)

研究期間 (年度) 2010-05-31 – 2015-03-31
キーワードクロトー / FGF19 subfamily / 恒常性 / 生活習慣病 / 代謝制御
研究概要

研究結果を以下に記載する。
(1】糖鎖末端がグルクロン酸修飾をうけているNa+,K+ATPase、FGFR1、その他のα-Klotho結合蛋白質が優先的に複合体を形成することを明らかにした。(2)FGF23の198番アミノ酸に結合する糖鎖がα-Klothoとの結合に重要であることから、その構造を決定した。また、この糖鎖は単独で直接α-Klothoに結合すること、結合することによってα-Klothoの構造変換をもたらすことを見いだした。(3)α-Klothoを大量合成ベクターに繋ぎ、Hec細胞で大量生産した。次いで、結晶化の条件を検討し、解析可能な結晶を取得し、スイスの解析施設に運び、結晶構造の解明に成功した。α-Klothoは2つのドメインからなっており、その中心にFGF23の糖鎖を結合するKl1ドメイン、Na+,K+ATPase、FGFR1などが結合するKl2ドメインがあり、複数のタンパクが結合するKl2ドメインの方がより可変性が高いとの結果がえられた。
また、FGF23が結合できない変異α-Klothoでは、変異アミノ酸が糖鎖結合部位に影響を与えていることを確認した。(4)FGF23の198番アミノ酸に結合する糖鎖とα-Klothoが結合した共結晶構造を解析した。次いで、糖鎖の構造がα-Klothoの構造変化をどのようにもたらすのかを分子動力学的解析によりシミュレートする予定である。(5)α-Klotho変異マウスではビタミンD亢進の下流でカルパインが活性化されており、変異表現型の重要な要因であることを結論した。(6)肝臓でb-Klothoを特異的に発現するトランスジェニックマウスを作成し、ノックアウトと掛け合わせて、肝臓における機能を解析した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

課題であった結晶構造解析に成功し、かつ、糖鎖とクロトーの共結晶の解析も進んでおり、大きな進展があった。また、カルパイン阻害剤がクロトー変異表現型をほとんど改善することが明らかに明らかになり、ビタミンDの過剰合成、カルパインの活性化が変異表現型の重要な要因であることも明らかになった。また、肝臓におけるβクロトーの役割の解析が進み、単に胆汁酸合成の亢進が体重減少の要因でないことも明らかになった。一方、 FGF21の機能解析については、遅れがあり、総体としておおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

(1)FGF23の糖鎖がαークロトーに結合すると、どのような分子機構で、その構造変換がもたらされ、FGG23とαクロトーの結合が安定するのか、(2)αークロトー/FGF23/FGFR1からなる3者複合体の構造解析を進める。(3)βークロトーの結晶化を進めており、構造決定に進みたい。(4)βクロトーは胎児においても重要な役割を担っており、その機能を解析する。(5)FGF21の機能の一端を明らかにする。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 4件)

  • [雑誌論文] Reduced Renal α-Klotho Expression in CKD Patients and Its Effect on Renal Phosphate Handling and Vitamin D Metabolism.2014

    • 著者名/発表者名
      Sakan H, Nakatani K, Asai O, Imura A, Tanaka T, Yoshimoto S, Iwamoto N, Kurumatani N, Iwano M, Nabeshima Y, Konishi N, Saito Y.
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 9 ページ: e86301

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Complex regulation and diverse functions of alpha-klotho.2013

    • 著者名/発表者名
      Maeda R, Imura A, Nabeshima Y
    • 雑誌名

      Contrib Nephrol.

      巻: 180 ページ: 25 46

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Inactivation of JAK2/STAT3 Signaling Axis and Downregulation of M1 mAChR Cause Cognitive Impairment in klotho Mutant Mice, a Genetic Model of Aging.2013

    • 著者名/発表者名
      Park SJ, Shin EJ, Min SS, An J, Li Z, Hee Chung Y, Hoon Jeong J, Bach JH, Nah SY, Kim WK, Jang CG, Kim YS, Nabeshima YI, Nabeshima T, Kim HC.
    • 雑誌名

      Neuropsychopharmacology

      巻: 38(8) ページ: 1426 1437

    • DOI

      PMID 23389690

    • 査読あり
  • [学会発表] α-Klotho;機能と病態2013

    • 著者名/発表者名
      鍋島陽一
    • 学会等名
      第13回日本抗加齢医学会総会シンポジウム「液性因子と加齢」
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      20130628-20130630
    • 招待講演
  • [学会発表] alpha-Klotho in health and diseases.2013

    • 著者名/発表者名
      Nabeshima Y.
    • 学会等名
      IAGG World Congress of Gerontology and Geriatrics; Key note lecture
    • 発表場所
      Seoul
    • 年月日
      20130624-20130628
    • 招待講演
  • [学会発表] クロトー:生理機能、分子機能、病態2013

    • 著者名/発表者名
      鍋島陽一
    • 学会等名
      老年学会/基礎老化学会 特別講演
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      20130604-20130606
    • 招待講演
  • [学会発表] Klotho familyの発見とその分子機能の解析を基盤とした生体恒常性維持機構の研究2013

    • 著者名/発表者名
      鍋島陽一
    • 学会等名
      日本内分泌学会マイスター賞受賞講演 第86回日本内分泌学会学術総会
    • 発表場所
      仙台
    • 年月日
      20130425-20130427
    • 招待講演

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公開日: 2015-05-28  

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