研究課題
α-Klotho遺伝子変異マウスの発見とその原因遺伝子の同定により単一遺伝子の変異により多彩なヒト老化類似症状が起こることが明らかとなり、老化研究に大きなインパクトを与えた。本研究ではα-Klotho、相同分子であるβ-Klothoの分子機能の解明を進め、以下の結果を得た。(1)α-Klotho はβグリコシダーゼのホモログであり、極めて弱いがグルクロニダーゼ活性を示すことから、酵素として機能する可能性と糖鎖結合タンパクとして機能する可能性が示唆された。そこで結合分子の糖鎖の構造と機能を調べたところ、FGF23 には末端にグルクロン酸をもつ新規O型糖鎖が付いていること、FGFR1、NaK-ATPase β-サブユニット、その他のα-Klotho 結合タンパク質のN 型糖鎖にはHNK-1 抗原糖鎖(グルクロン酸修飾)が付いていること、また、糖鎖がα-Klotho の糖鎖認識ドメインに結合することにより安定な複合体形成をもたらすことを明らかにした。更にα-Klotho の結晶構造解析とその分子動力学的解析、蛋白質と糖鎖のドッキングシミュレーション解析を駆使することにより、(2)蛋白間相互作用における糖鎖の新たな機能を解明し、(3)α-Klotho はグルクロン酸糖鎖/HNK-1 糖鎖抗原を認識、結合する新規レクチンであることを発見した。これらの成果は蛋白質科学・糖鎖科学に大きく貢献するものである。また、(4)カルパイン1阻害剤の投与により多様な老化類似変異表現型がレスキューされることから、重要な創薬ターゲットであることを示し、加齢関連疾患の治療法開発に大きな手がかりを与えることとなった。一方、(5)肝臓におけるβ-Klothoの機能を解明し、コレステロール代謝のロバストネスを証明すると共に、胆汁酸の過剰合成が体重減少の要因でないことを明らかにした。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Sci Rep.
巻: 4 ページ: 5847(1)-(7)
10.1038/srep05847
PLoS One
巻: 9 ページ: e86301