研究課題/領域番号 |
22229004
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
小安 重夫 独立行政法人理化学研究所, 統合生命医科学研究センター, センター長代行 (90153684)
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研究期間 (年度) |
2010-05-31 – 2015-03-31
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キーワード | 免疫学 / 感染症 / アレルギー・ぜんそく / 細胞・組織 |
研究概要 |
(1)前駆細胞の同定:胎児肝臓中のリンパ系前駆細胞を様々な表面マーカーを用いて分画し、α4β7インテグリンとIL-7Rを高発現する分画に NH細胞の前駆細胞が多く存在することを明らかにした。また、培養に用いるIL-7の濃度を検討し、高濃度の IL-7が T細胞の分化を抑制するのに対し、 NH細胞は比較的高濃度の IL-7によって分化が促進されることを明らかにした。 (2)寄生虫感染におけるNH細胞の機能:肺における好酸球増多が肺ステージでの寄生虫防御に重要であることが知られるが、 NH細胞を持たない γcとRag2の2重欠損マウス(DKOマウス)を用い、感染時の肺における好酸球増多が DKOマウスでは誘導されず、 NH細胞を移植することで肺の好酸球増多が回復することを示し、肺ステージにおいても NH細胞が寄生虫感染防御に重要であることを明らかにした。 (3)アレルギー反応における NH細胞の役割:卵白アルブミン(OVA)と コレラトキシンを投与して作成した食物アレルギーモデルマウスを用い、NH細胞の機能を検討した。その結果、食物アレルギーやそれに伴うアナフィラキシー反応の誘導に、 IL-33とNH細胞が重要な役割を果たすことを明らかにした。また、OVAで感作したマウスの気道にOVAを投与して誘導する喘息モデルを用い、 NH細胞や T細胞は通常はステロイド剤の投与によって活性が抑制されるのに対し、低濃度の IL-33が産生されることで NH細胞が活性化されて重症化すること、さらに TSLPが産生されると NH細胞がステロイド剤に抵抗性を獲得することを明らかにした。さらに、 TSLPの下流で機能する Stat5の阻害剤を用いることでステロイド抵抗性が解除されることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)前駆細胞の同定:NH細胞へ分化する前駆細胞の同定に近づいたと思われるが、まだ特異的な細胞を明らかにしたとはいえない。しかし、 NH細胞を誘導するこれまで以上に効率の良い系を樹立できたことから、今後研究が発展すると期待している。 (2)寄生虫感染におけるNH細胞の機能:腸管ステージのみならず、肺ステージにおいてもNH細胞が重要であることを示すことができた。 (3)アレルギー反応における NH細胞の役割:食物アレルギーモデルを用いて IL-33とNH細胞の重要性を明らかにすることができた。 以上のことから研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
(1)前駆細胞の同定 さらに前駆細胞の同定を進めると共に、分化に必要な遺伝子をさらに検討する。 (2)寄生虫感染におけるNH細胞の機能 予備実験から炎症性サイトカインの一部がNH細胞の機能を抑制することが明らかになったことから、寄生虫感染における炎症性サイトカインとNH細胞の機能に関して研究を進める。 (3)アレルギー反応における NH細胞の役割 食物アレルギーモデルを用いて更にNH細胞の機能を明らかにしする。さらに、 IL-33が NH細胞のみならず、肥満細胞や好塩基球にも作用することから、 NH細胞と他の自然免疫細胞の相互作用にも注目しつつ研究を進める。
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