研究課題/領域番号 |
22229008
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研究種目 |
基盤研究(S)
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研究機関 | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
糸山 泰人 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 病院, 病院長 (30136428)
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研究分担者 |
藤原 一男 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70280873)
三須 建郎 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (00396491)
中島 一郎 東北大学, 病院, 講師 (50333810)
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キーワード | 脳神経疾患 / 視神経脊髄炎 / デビック病 |
研究概要 |
視神経脊髄炎(NMO)は重症の視神経炎と横断性脊髄炎を繰り返す重篤な神経難病であるが、以前から多発性硬化症(MS)との異同が議論されてきた。私共はメイヨークリニックと共にNMOに特異的でMSには検出されないアクアポリン4(AQP4)抗体を発見した。私共はさらに本疾患が免疫介在性アストロサイトパチーという新たな疾患概念であることを提唱している。 この疾患概念確立と共に、病態を解明しNMOの治療法を確立することが本研究の目的である。 I.臨床的解析(1)全国から集積した1400例以上のAQP4抗体陽性症例の臨床情報の総合的解析を実施中である。 (2)NMO62例の脳病変を解析し、MSとは異なる5種の病変を見出した、(1)錐体路を含む病変、(2)血管性浮腫による広範な大脳半球病変、(3)中脳水道、第3,4脳室周囲の病変、(4)側脳室周囲の病変、(5)しばしば頸髄病変と連続する延髄病変。(3)NMOのQuality of Life(QOL)及び疼痛を検討したところ、NMOでは疼痛がMSより高頻度でより重症で、分布も異なり、QOL低下に関わっていた。 II.NMOのアストロサイトパチーの病態解明(1)NMO病変の壊死部分の周囲においてアストロサイトの突起のビーズ状変化や破砕物が多数みられた。(2)NMOの再発時には髄液GFAPが著明に上昇しており、脊髄病変の長さや重症度と相関していた。MSでは上昇はみられなかった。(3)AQP4抗体をAQP4発現アストロサイトに補体と共に添加すると細胞が破壊された。またAQP4抗体のみでは細胞膜のAQP4が内在化し分解し、アストロサイトは球状になった。(4)AQP4反応性T細胞を樹立しこれをAQP4抗体と共にラットの血中に注入するとNMO様病変が惹起された。以上の結果はNMOにおけるAQP4抗体の病原性と本疾患が特異なアストロサイトパチーであることを支持する知見である。
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