研究課題
JHDM2Aがβアドレナリンの刺激を受け、Aキナーゼ(PKA)によってリン酸化を受けることを見出した。このリン酸化により、SWI/SNFクロマチンリモデラー蛋白質と核内受容体PPARγとが複合体形成することを見出した。PPARγは遠位のエンハンサー領域に結合しており、PKA依存的に遠位エンハンサーがプロモーターに近接することを見出した。このようなメカニズムによりエンハンサー上のPPARγやC/EBPαやβが転写活性に寄与することを発見した。また、JHDM2Aの高感度モノクローナル抗体、リン酸化抗体の作製に成功し、ChIP Seqやプロテオミクス解析に供した。H3K9メチル化酵素SETDB1についても、同様に高感度モノクローナル抗体作製からChIP Seqに成功し、SETDB1がC/EBPαに結合して転写を抑制することそして、その結合様式として、DNAのメチル化を認識することを見出した。SETD5についても、同様に抗体を作製し、ChIP Seqを行い脂肪細胞分化抑制の標的となる遺伝子を探索した。またノックアウトマウスを樹立した。
1: 当初の計画以上に進展している
JHDM2AとSETDB1抗体の作製からChIP Seq、プロテオミクス解析は計画通り進めた。一方、当初予想だにしなかったJHDM2Aのリン酸化による外的環境変化への応答という重要な発見をした。さらにそれが、long range DNA loopingを介して “On-Off”の急速な転写を制御しているあらたなモデルを提示した。さらに、JHDM2Aのリン酸化がメタボリックシンドロームのあらたな指標となりうる点などはさらなる発展が期待できる。
JHDM2AがSWI/SNF chromatin remodelerと複合体を形成すること、これにはセリンのリン酸化が必要であることを見出した。SWI/SNF chromatin remodelerは10数個のタンパク質から構成されているため、in vitro translationにもとづくGSTプルダウンなどにより、結合タンパク質を見出す。SWI/SNFタンパク質との巨大複合体を精製する。さらにはJHDM2AのChIP Seqのインフォマティクス解析を進める。結合するDNAモチーフやピークコール解析を行う。SETDB1については、PHDドメインがDNAのメチル化を認識することを見出した。このドメインのタンパクを精製し、直接結合を証明する。MBDのChIP Seqを行い、SETDB1の結合部位とどれだけオーバーラップするか解析する。SETD5は引き続き骨の解析を進める。
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PLoS One. 2014
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