研究課題
車載ソフトウエアの規模と複雑性の増大に対処するため,現在のAUTOSAR に代表されるようにソフトウエアプラットフォームを利用したアプリケーション連携ではなく,本研究では,多種多様なセンサを通して得られる車両の走行環境情報を論理的なデータ空間に統合し,このデータ空間に対して統一的な手法でアクセスするアーキテクチャの確立を目指している.今年度は,実際の組込みシステム環境を想定し,車両走行環境に対応可能なデータ処理のフィルタリング,および,効率的な衝突検知のアルゴリズムを組込んだ上で,高速演算を実現できるソフトウエア開発システムの設計,実装,評価を行った.具体的アプリケーションとしては,前方車両衝突警告,交差点進入車両衝突警告,および,右折・直進車両衝突警告を用い,ZMP社のRoboCar 1/10 (Linux)およびAltera社FPGAボード(TOPPERS/ATK2)で実証実験を行い,開発手法の有効性を検証した.事前にXMLを利用して定義したストリーム処理用のコンポーネントを組み合わせることでアプリケーションを設計し,この設計からデータ処理最適化を含みターゲットハードウエアの要求仕様に対応して非機能要求を満足したソースコードを自動的に生成し,今回新たに開発した組込みデータストリーム管理システム(eDSMS)のランタイム環境を組込み,実行モジュールを作成可能となった.また,通常ならデータベースとして格納されている地図データをデータストリーム管理システムで処理可能とするためのストリーム化機構を開発し,Local Dynamic Mapの地図データをストリーム化することで,センサデータと空間演算を行う際の処理性能を約数十倍向上させることができた.これらの結果,本研究でのアーキテクチャが安全運転支援を対象とした車載組込みシステムとして適応可能であることを検証することができた.
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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情報処理学会論文誌 データベース
巻: Vol.5, No.3 ページ: 36-50
The Science and Engineering Review of Doshisha University
巻: Vol. 53, No.3 ページ: 28-35
電子情報通信学会論文誌
巻: Vol.J95-D, No.12 ページ: 2031-2047