研究課題/領域番号 |
22240009
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
阿久津 達也 京都大学, 化学研究所, 教授 (90261859)
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研究分担者 |
川端 猛夫 京都大学, 化学研究所, 教授 (50214680)
林田 守広 京都大学, 化学研究所, 助教 (40402929)
永持 仁 京都大学, 情報学研究科, 教授 (70202231)
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キーワード | 特徴ベクトル / グラフ理論 / 化学構造 / ベンゼン環 / 異性体 / 木構造 / カーネル法 / 構造列挙 |
研究概要 |
今年度は以下を中心に研究を行った。 (1)ベンゼン環を含む木状化合物の列挙 ベンゼン環を持つ場合には、オルト、メタ、パラなどの異性体を区別する必要があり、これまで開発してきた木状化学構造の数え上げアルゴリズムへのその機能の追加に継続的に取り組んできた。今年度の研究によりその機能を完成することができ、開発してきたEnuMolサーバーにも組み込んだ。 (2)特徴ベクトルの上下限を与えた場合の木状化学構造の列挙アルゴリズム これまでの定式化では制約が強く解が存在しない場合が数多くあるため、特徴ベクトルの各要素の上下限を与えるというより弱い制約のもとで、その制約を満たす木状化学構造を列挙するアルゴリズムを昨年度より開発してきたが、それを完成させ論文として発表した。さらに、二重結合を含む場合の同様の列挙を高速化するために二段階法を開発して、その有用性を計算機実験により確認した。 (3)EnuMolサーバーの新バージョンの開発 以前より開発してきた化学構造の数え上げを行うWEBサーバーのユーザインターフェースを一新するとともに、上下限を与えた場合の木状化学構造の列挙、ベンゼン環を含む木状化合物の列挙の両機能を追加した。これらの大幅な改良を行ったため、WEBサーバーをEnuMol Version 2として新たに公開した。 この他にも、整数計画法を用いたRNAの擬似ノットつき二次構造予測法の開発、マルコフ確率場を用いたタンパク質相互作用予測、最大クリークと動的計画法を用いた無順序木の効率的比較法などを開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
構造列挙アルゴリズム自体の開発は順調に進展しているが、スコア関数の学習および最適化法、核となる構造を与えたもとでの構造の推定・列挙には今年度も本格的に取り組むことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度はこれまで十分に取り組むことのできなかった課題、特に、スコア関数の学習および最適化法、および、木より広いクラスの化学構造の列挙を中心に取り組むとともに、これまでに開発してきた数え上げ手法、および、WEBサーバーの改良も行う。また、化合物設計のためには標的となるタンパク質などの生体高分子や代謝ネットワークなどの生物情報ネットワークの解析も重要であるので、これらの研究も継続して行う。
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