研究課題/領域番号 |
22240019
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
喜多 泰代 独立行政法人産業技術総合研究所, 情報技術研究部門, 主任研究員 (00356875)
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研究分担者 |
喜多 伸之 独立行政法人産業技術総合研究所, 知能システム研究部門, 主任研究員 (90356874)
植芝 俊夫 独立行政法人産業技術総合研究所, 情報技術研究部門, 主任研究員 (20356546)
金広 文男 独立行政法人産業技術総合研究所, 知能システム研究部門, 主任研究員 (70356806)
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キーワード | ロボットビジョン / 柔軟物ハンドリング / モデル駆動型画像処理 / アクション連動 / ヒューマノイド / ステレオビジョン / 広視野視覚 / 変形モデリング |
研究概要 |
H23年度は、H22年度に開発した基盤要素技術を基に、「机上に無造作に置かれた衣類を持ち上げた後、指定された形状に広げるために複数回持ち替えを行う一連動作」を実現するための研究を行った。具体的な技術の進展として、以下が挙げられる。 (1)アクションと視覚認識の連動: 一連動作における、アクションの履歴と観測情報の遷移の関係を解析し、現在の推定結果を基に過去に遡ってその正当性を評価するより、能動的に未来の形状を絞り込む戦略の方が有効である見通しを得た。こうした考察に基づき、アクションにより衣類の状態を絞り込み、観測画像からの状態推定の頑健性を増す手法を開発し、国際会議で提案を行った。 (2)実行可能アクションの自動変換: 昨年度開発した片腕の自由度を利用した動作生成機能を、両腕によって閉ループが構成される場合にも適用可能とするための拡張を行った。衣類を両手で操作する際には両手の絶対位置はそれほど重要ではないことに着目し、 1)衣類に負荷をかけないための両手の相対位置関係の実現、2)両手の絶対姿勢の実現、 3)両手の絶対位置の実現という優先度に基づいて動作生成を行う手法を開発し、実際の作業の遂行に有効であることを確認した。 (3)布状物体の3次元変形・運動の追跡: 3眼ステレオビジョンによる布状物体の追跡を行うため、SURF特徴点の高速抽出法(1000点を10フレーム/秒)を開発し、それを用いた衣類表面上の点単位の追跡の検討を行った。 (4)広視野視覚情報の利用: 双腕で空中把持した衣類形状をロボットの頭部に設置した広視野ステレオにより計測する研究に着手し、近領域を観察する際に問題となる、左右カメラ投影画像間の大きな歪みに対処するため、探索する面パッチの方向性を考慮する手法を開発し、実験でその有効性を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究期間内では、「任意の状態に置かれた衣類を、指定する目標形状で把持する」課題を具体的に設定し、視覚認識とアクションとの連動要素技術の研究開発を行い、一連動作遂行による実証を行うことを目標としているが、既に、衣類を机上から持ち上げ、持ち替え動作を行う中で、認識とアクションとの相互連動を活用するところまで到達している。これには、実行可能アクションの自動変換技術が想定以上に進んでいることが寄与している。また、並行して進めている、広視野性を備えた視覚情報入力の検討なども順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
研究を進めている過程で、「アクションにより能動的に未来の形状を絞り込み認識する」戦略の有用性がより明確になってきており、この戦略を、遂行すべきタスク最終目標を考慮した方向性の中で実現する重要性が見えてきている。このため、目標とする最終状態を「指定する目標形状で把持」から、さらに進めて、実応用における具体的形状とすることも検討していく。
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