日本図書館情報学会のメンバーを中心に実施してきた本プロジェクトは、通称LIPER3 (Library and Information Professions and Education Renewal 3)と呼ばれる。研究実績は3つに分けて記述できる。 第一に、日本における図書館情報学専門教育を推進するための基盤を形成することであるが、日本の戦後の図書館情報学教育全体を見直すための資料集『図書館情報学教育の戦後史:資料が語る専門職養成制度の展開』(ミネルヴァ書房)を刊行した。 第二に、図書館情報学教育と従来の司書課程教育を結びつける方法として、図書館情報学検定試験を開発して、2010年から2013年度まで公開の場での検定試験を実施して、その結果を受験者、担当大学に返し、全体的な分析を行ってきた。本年度はこれまでの4年分の実施結果をまとめて報告書として刊行し公表した。 第三に、日本の図書館情報学専門教育を外国の同教育と比較するためにいくつかの事業を実施した。まず、アメリカの図書館情報学の標準的教科書チャード・ルービン著『図書館情報学概論』第3版の翻訳書(東京大学出版会)を準備してきたが、本年度に刊行した。次に、三輪眞木子放送大学教授の研究プロジェクトと連携して、Quality Assurance in LIS Education: An International and Comparative Study(Springer)を刊行した。また、ヨーロッパ(コペンハーゲン、リヨン)およびアメリカ(ホノルル)の図書館情報学専門教育機関を訪問し、専門教育の実態を聞き取りした。その成果の一部は、『場所としての図書館・空間としての図書館:日本・アメリカ・ヨーロッパを見て歩く』(学文社刊)として刊行した。
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