研究課題/領域番号 |
22240030
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研究機関 | 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構(新領域融合研究センター、DBCLS) |
研究代表者 |
北川 源四郎 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構(新領域融合研究センター、DBCLS), 新領域融合研究センター, 研究員 (20000218)
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研究分担者 |
椿 広計 統計数理研究所, データ科学研究系, 教授 (30155436)
津田 博史 同志社大学, 理工学部, 教授 (90450163)
西山 慶彦 京都大学, 経済研究所, 教授 (30283378)
川崎 能典 統計数理研究所, モデリング研究系, 准教授 (70249910)
佐藤 整尚 統計数理研究所, データ科学研究系, 准教授 (60280525)
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キーワード | データサイエンス / 匿名データ / オンサイト拠点 / 社会実験 / LCA / 時空間モデリング |
研究概要 |
これまで形成した「匿名化データ提供拠点」の情報セキュリティ環境の整備に当たり、(独)統計センターより平成24年3月「オンサイト拠点」としての認可を受けた。更に、平成23年度上半期には、医薬品安全性保証に関わる探索的研究を推進するために、厚生労働省が提供するレセプトナショナルデータベースをオンサイト拠点で利用すべく準備研究を進めたが、探索的研究をレセプト個票で行うことは制度上許されないということで、下半期には平成24年度に提供予定の匿名化サンプリングレセプトデータで可能な医薬品有害事象に関わる相互作用実態の解明、並びに並行して進めている自殺予防研究の中での地域における新抗うつ剤使用実態との関係性などの研究準備を行った。この他,引き続き政府メッシュデータなどを入手し,オンサイト拠点に投入した.医薬品安全性に加えて、食品安全性についても、冷凍食品分野などでの安全基準作成や公的検査技術開発などで関連産学分野の研究者から情報収集を行った。 重点研究領域である京都市との社会実験については,昨年度に引き続き研究会を京都市役所で開催するとともに,同志社大学で定期的に検討会を行い,京都市中小企業を対象とした環境負荷(LCA)データの自動収集と政策反映,観光政策のためのデータ収集と分析などの研究に関わる基礎研究を実施した.平成24年3月には簡易LCAのための基礎データを(社)産業環境管理協会より提供を受け、直ちに開発中のWEB上で操作可能なLCAシステムに,データを投入した。もう一つの重点領域である自殺予防政策も,平成22年度に構築した自殺率に関する地域別時空間データを利用し,その時空間分析ならびにモデル当てはめを継続実施し,自殺の時空間ホットスポットやクールスポットの可視化を行った.更に、このデータベースに自治体居住地域の全家屋の土地平均傾斜度情報に基づいて市町村居城地域平均傾斜度を作成・投入し、これと自殺率との高度に有意な相関を実証し、高台急傾斜地域で孤立する住民の自殺リスクを明らかにした。関連して、自殺予防プロジェクト研究会において地域政策研究に必要なデータ構造とそのグラフィカルな因果構造抽出の意義についての議論を深めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
自殺予防政策については、平成22年度に研究分担者逝去という苦境に陥ったが、その後も順調にデータが積み上がり、自殺予防センターとの関係性や新たに慶應義塾大学健康マネジメント研究科からの研究協力も得ることで、当初計画以上に進展している。産業環境政策支援プロジェクトについては、LCAシステム開発は、産業環境管理協会の協力もありようやく軌道に乗ったが、システム具体化の遅延もあり、京都市並びに京都市産業界からの全面協力には至っておらず、やや遅れているという自己評価である。
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今後の研究の推進方策 |
現在の基礎研究を開発・実装に至る社会実験として実現することについては、自治体・産業界との議論の中で、研究協力者を質量ともに増強する必要がある。特に、環境政策に関しては.京都市産業界での具体的パートナー企業、自殺予防政策においては、個別の自殺の原因に迫れる警察統計の提供を受けることが困難である以上、特定の自治体との共同研究などを計画する必要もある。
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