1)成長円錐を最も強く阻害するコンドロイチン硫酸(CS)について、その合成酵素の1つCSGALNACT1をノックアウトしたマウスで、脳および軟骨でのCS量がほぼ半減していることを見出した。その結果、軟骨では特定サイズCS糖鎖の構造が異常で、それによって正常な骨端軟骨形成過程が微細構造でも阻害されることを証明した。一方、脳では神経細胞の移動および軸索経路の異常が見られた。また脊髄での神経損傷後の成長円錐維持が促進されるため、顕著な回復が見られた。 2)成長円錐の新規マーカー分子nGAPsの局在性をPC12D細胞で詳細に調べたところ、大脳皮質細胞でのnGAPsはすべて、PC12D細胞での成長円錐に局在し、神経成長に関与することをRNAiで証明した。よって、nGAPsは神経細胞種によらず、成長円錐の普遍的な分子マーカーであることが証明された。 3)成長円錐のnGAPsのノックアウトマウス作成解析として、まずPACS1のKOマウスを作製に成功した。 4)M6aの下流の極性形成機構を検討し、GTP型rap2とM6BPが先に成長円錐に濃縮され、その後に成長円錐の極性が形成されることを見出した。
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