研究課題
以下の主要な成果を得た。1) 神経成長をin vivoでコントロールするコンドロイチン硫酸(CS)の合成で律速酵素となるCSGalNAcT1(T1)のKOマウスを作製し、in vivoでの成長円錐機能解析を行った。その結果、再生軸索成長は脊髄損傷モデルできわめて顕著に生じており、機能的回復も歩行可能に到達した。この系でCSは一定量減少したが、それだけでは損傷部位が多少縮小したのみであったので、合成系を共有するヘパラン硫酸(HS)の解析を行った。その結果、HS合成酵素群は軒並み発現上昇し、産生されたHS量は20倍以上であった。HSを分解すると、成長円錐機能は野生型レベルに減少した。これらの結果は、成長円錐機能を最適化するためには環境因子であるCS-HSのバランスが最適化されることが必要であることをしょうめいするものである。2) 成長円錐機能を発現させる神経細胞の極性決定に、ラミニン依存性にGPM6aの関与を検討していたが、GPM6aは神経細胞の突起伸長時に先端に局在化し、ここに結合分子群であるM6BP, Rap2, rac GEF, rac が一括して濃縮され、極性を効率的に決定することが分かった。この働きによって、従来型の仮説で微小突起が出現するStage IIはスキップされて素早く細胞の極性決定が生ずると考えられた。3) 成長円錐機能に必要な分子であるsyntaxin-1aがCaMKIIと結合して神経伝達を調節するため、その不活性化マウスを作製した。この系では短期可塑性を負に調節する機構が障害され、行動の異常も認められた。分子機構として、膜融合を負に制御するcomplexinの取り込みが通常よりも低下したために、このような結果が生ずると解釈された。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)
Neuron
巻: 81 ページ: 814-29
10.1016/j.neuron.2013.12.015
Cell Rep
巻: 6 ページ: 916-27.
10.1016/j.celrep.2014.01.044
Nat Commun
巻: 4 ページ: 2740
10.1038/ncomms3740
J Biol Chem
巻: 288 ページ: 34906-19
10.1074/jbc.M113.504050.
Brain Res
巻: 1535 ページ: 1-13
10.1016/j.brainres.2013.08.018
http://www.med.niigata-u.ac.jp/bc2/