研究課題
マウス発生期大脳皮質の多極性細胞蓄積帯(MAZ)に蓄積する多極性移動細胞(SEP)と、多極性細胞蓄積帯とオーバーラップする「脳室下帯」に局在する前駆細胞(REP)は、最近報告されたヒト胎児大脳皮質におけるinner subventricular zone(ISVZ)の細胞及びouter subventricular zone(OSVZ)の細胞とそれぞれよく似た形態を示すことを見いだした。ヒトをはじめとする霊長類の大脳皮質ではOSVZが大きく発達したことを鑑みると、マウスにおいてSEP及びREPの産生や動態を制御する機構を明らかにすることは、進化的にも重要な意義を有し、「脳室下帯」を構成する細胞の制御機構の解明に結びつくと考えられる。そこで、これらの細胞の産生と動態を制御する分子の候補を検索するため、SEPを多く産生する背内側皮質とREPを多く産生する外側皮質で移動最初期にある細胞群を子宮内胎仔脳電気穿孔法を用いてGFPでラベルし、FACSを使ってそれぞれ濃縮した上でマイクロアレイにより発現プロファイルを比較した。その結果、背内側皮質で強く発現する分子を9個、外側皮質で強く発現する分子を29個同定することができた。それらについて、子宮内胎仔脳電気穿孔法を用いて強制発現及び機能阻害実験を行い、REPとSEPに影響を及ぼす分子の検索を行った。
2: おおむね順調に進展している
既に具体的な候補分子の同定に成功しており、in vivoでの強制発現実験等により確かに「脳室下帯」の構成細胞に大きく影響する機能を有していることを見いだしているため。
今後は、すべての候補分子についてさらに機能阻害実験を特異性の検証を含めて慎重に行い、それらのうち特にはっきりとした影響が見られた分子について、相互作用の有無や細胞内下流分子の検索などを進めて行く予定である。
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