研究課題/領域番号 |
22240048
|
研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
藤井 直敬 独立行政法人理化学研究所, 適応知性研究チーム, チームリーダー (20392095)
|
キーワード | ミラーニューロン / ECoG電極 / 社会的認知機能 |
研究概要 |
本研究計画では、社会環境の中で最も重要な他者の行動を、脳が如何に認知し、それに応じた社会的適応行動を実現しているかを、ニホンザルを用いて明らかにする。これまでの、他者認知は、ミラーニューロンと呼ばれる自己と他者の特定の意図的行動に反応する神経細胞活動を中心として、言語の進化や心の理論などと関連付けて議論されてきた。しかし、ミラーニューロン仮説には様々な疑問が投げかけられており、それに対する追試や検証作業は行われていない。特に、脳内のどの部位がどのように他者の意図認知に貢献しているのかの定量的検証は様々な技術的困難により不可能であった。そこで、この研究計画では、全く新しい多次元生体情報記録手法を用いて、この問題を明らかにすることとした。 23年度は、記録可能なチャンネル数をさらに倍にし、256チャンネルのECoG電極を使って両半球からの同時記録を可能にした。これにより、両半球間の認知機能を検討することが可能となったミラーニューロン課題に関しては、2頭のサルを向かい合わせに座らせ、それぞれのサルが順番にエサを食べるという上肢の運動課題を行い、その時のサルの脳活動を記録した。 その際の神経活動を解析すると、前年度の予備実験と同じように、広い範囲において、自己および他者の運動に同じように反応する部位があることが明らかになった。 しかしながら、この課題では被観察対象であるサルの行動がコントロールできないという問題があり、それを解決するために様々な上肢運動を撮影したビデオを見せる課題を行わせることにし、準備を開始した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に実験のセットアップを行い、本年度は本実験を開始した。本実験を行った結果に見つかったいくつかの問題点に対しては対策済である。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度である24年度は、23年度の結果を受け、より詳細な実験課題とデータ解析を行い、当初の目的を確実に達成できるようにする。23年度に見つかったサルの行動のコントロールの問題点は、ミラーニューロンを発見したパルマのグループからビデオ映像の提供を受けたので、それを用いることになっている。
|