研究課題
1.マーモセットINSR shRNA発現ベクターの構築および評価:in vitroの実験で選定したshRNA発現ベクターが、遺伝子改変個体でのノックダウン(KD)効率と糖尿病の発症に反映されるか不明なため、第二候補となるshRNA発現ベクターを作製した。以前は、全ゲノム情報が明らかなヒト、マウス、ラットを元にshRNAの選定を行ったが、今年度は現在までに解読されたマーモセットゲノム情報を元にターゲット配列を選定した。2.マーモセットINSR特異的 shRNA発現ベクター導入マーモセット作出:shRNA発現レンチウイルスベクターを受精卵に注入し、5日間の培養後、レポーター遺伝子GFP陽性胚182個を79匹の仮親に移殖して3匹の妊娠個体を得た。2匹は移植後day92、day100に流産した。残り1匹は帝王切開にて産仔2匹を得たが産仔は出生後day4、day5に死亡した。剖検の結果、死因が遺伝子改変に起因するのか低体重児出生に起因するかは不明だった。次いで、妊娠率の向上のため、発生能の高い体内発育胚を子宮より採取してウイルス注入を行った。10個の胚を7匹の仮親に移殖した結果、1匹の妊娠個体を得、H26年4月15日に1匹の産仔が得られた。3.得られた産仔の導入遺伝子の解析:流産胎児1匹、新生仔2匹より回収した胎盤、胎児の皮膚のサンプルでRT-PCRを行った結果、全ての個体でGFPの発現が認められた。また、出生後死亡した2匹の骨髄、皮膚、肝臓より回収した細胞の9割以上でGFPが発現していることをFACS解析により確認し、更にこれらの細胞にドキシサイクリン添加培養することで、インスリンレセプターがノックダウンすることをウエスタンブロット解析により確認した。4.ドキシサイクリン投与による耐糖性の誘導の評価およびII型糖尿病モデルとしての評価:得られた産仔が死亡したため行っていない。
2: おおむね順調に進展している
世界初、INSR特異的 shRNA発現ベクター導入マーモセット産仔を得た事から、霊長類疾患モデルの作出に向けて大きく前進したと考える。
これまでの結果より、現在の方法により得られる産仔のすべてが遺伝子改変動物であり、個体より回収した細胞ではノックダウンが起こることが示されている。今年度は産仔獲得率を上昇させるために、ウイルスの作製方法を検討し胚毒性の低いウイルスインジェクションを試みる他、本ベクターのGFPの上流に搭載されているユビキチンプロモーターをマーモセットの遺伝子改変動物作出において実績のあるCMVに変換し検討を行う。また、4月に得られている産仔については発育次第ノックダウン、II型糖尿病の解析を行う。
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