再生軟骨の組織形成度を非侵襲的に評価する技術の開発を進めた.再生軟骨の組織形成度は,コラーゲンやプロテオグリカンの産生量や機械的特性の定量を通じて評価可能であるが,通常は破壊的な方法によって評価されている.一方,再生軟骨はテーラーメードであることから非侵襲計測法の開発は必須である.軟骨組織を形成する主要なマトリックスの一つはsGAGと呼ばれるプロテオグリカンである.このsGAGは硫酸基を持つため,水分子を配向させることにより,軟骨組織の高い含水率および機械的特性における粘性を実現させている.テラヘルツ波は,分子間相互作用と同じエネルギーレベルにあるため,軟骨組織に対してテラヘルツ時間領域分光を適用したところ,テラヘルツ帯の特定の波長における軟骨組織の複素誘電率のデータとsGAG量および機械的特性のあいだに高い相関が見られた.このことにより,テラヘルツ時間領域分光により再生軟骨の非侵襲評価が可能であることが示された.
|