研究概要 |
胎児・小児の超早期治療のための最先端治療デバイスの開発として,本年度は以下の研究を行った. (1)Integral Videography (IV)による手術ナビゲーションに適した三次元立体画像表示システムの開発 超音波画像により胎児や治療器具の位置情報を高精度に把握する必要がある.そのために,まず,ノイズの大きな超音波画像から胎児や治療機器の位置・姿勢を抽出する手法として,抽出対象の形状に着目した手法を提案し,超音波画像中の治療機器のトラッキングを実現した。また,同時に,IV高速作成技術を用い,リアルタイムに観察方向を変えられる超音波画像立体表示システムを実現した. (2)細径屈曲マニピュレータデバイス 脊髄髄膜瘤を対象として,内視鏡下に子宮内で治療を行うための細径屈曲マニピュレータとして,脊髄髄膜瘤治療用パッチ貼り付けデバイスの試作を行った.子宮内胎児を模した寒天ファントムに対し,試作したデバイスで治療用パッチを貼り付けることができることを確認した. (3)可変立体視野及びレーザ同軸内視鏡の開発 管内または体腔内での視野を拡張するため,直視と側視方向で同時観察可能な構造の内視鏡として,レクティファイヤレンズ系および偏光板を用いた内視鏡を試作し,2視野同時観察できることを確認した.また,レーザ同軸内視鏡については,レンズ系を改良することでΦ7.0mmからΦ3.5mmまで細径化した. (4)小児卵巣摘出保存支援システムの開発 スターリングエンジンを用いた冷却器と磁場発生のためのコイルを組み合わせ,交流磁場をかけながら凍結対象を冷却するシステムを試作した.試作システムは,-1.0℃/minで冷却が可能で,0~2.5MHz,0~0.6mTの交流磁場を発生させることができる.標準溶液の冷却実験を行い冷却速度・過冷却の基本性能評価を行った.
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