研究課題/領域番号 |
22240062
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
安田 和人 名古屋工業大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60182333)
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研究分担者 |
MADAN Niraula 名古屋工業大学, 工学研究科, 准教授 (20345945)
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キーワード | 放射線・X線 / 医療診断 / 電子デバイス / 結晶成長 / エピタキシャル成長 |
研究概要 |
有機金属気相成長法によりSi基板上に成長した単結晶CdTe厚膜層を用いた、p-like CdTe/n-CdTe/n^+-Si構造のヘテロ接合型ダイオード検出器について、前年度の検討に引き続き1.検出器性能の改善と、2.この検出器による8×8の2次元アレイ型画像検出器の検出特性向上を検討した。 1.に関しては前年度に引き続き検出器暗電流の低減を検討した。具体的にはSi基板とCdTe層との格子不整合に起因するn-CdTe層中の転位密度の低減と、検出素子製作条件の改善を検討した。その結果暗電流の低減により検出器に200V以上の高いバイアス電圧を印加可能となった。またアレイ上の個別検出素子の暗電流分布を詳細に検討した結果、暗電流の主要原因である活性化エネルギー約0.6eVの深い準位の密度は、CdTe層成長表面での原料TeとCdの比率に依存すること。またアレイ上の検出素子値暗電流を低減すると共に、暗電流特性の均一性を確保するとためには、成長表面におけるTe/Cd比率の精密制御と均一化が必要であることがわかった。今後はこの知見を基に検出器アレイ暗電流特性の均一化とさらなる暗電流の低減を目指す。 2.に関しては前年度に開発したアレイ製作技術と検出器実装技術をさらに洗練し、検出器アレイの製作とその特性向上を検討した。その結果、本研究の最重要課題である、8x8検出器アレイによる入射X線光子エネルギー識別画像の検出に世界に先駆け成功し、本方法によるSi基板上のCdTe層によって検出器アレイを実現できることを実証した。今後はさらに検出特性の高性能化(検出感度の高感度化、エネルギー分解能の向上)をはかる。 また、今後は製作した検出器アレイの特性評価を通じて、大面積高集積の検出器アレイに適合する信号読みだし処理回路の設計データを収得する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の検討により、本研究の最重要課題である8x8検出器アレイによる入射X線光子エネルギー識別画像の検出に世界に先駆け成功し、本方法によるSi基板上のCdTe層によって検出器アレイを実現できることを実証したため。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究を基礎として、検出特性の飛躍的向上が期待できるCdTe-APD実現に向けた研究を開始する。また当初、本研究は研究成果の利用分野として主として医療診断や検査への応用を想定していたが、今後は原発事故による環境汚染対策や、生活必要物質の安全管理や検査、事故収束に向けた作業環境の安全確保や保安管理等の分野における利用も想定して開発を進めたい。.
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