身体非活動性(physical inactivity;PI)は、種々の慢性疾患に全身性炎症をもたらし、疾患の病態を修飾しながら全身の悪化へと誘導していく。PIを解消して骨格筋収縮のトレーニングをすると、骨格筋細胞由来のミオカインが分泌され、炎症を改善させ、運動療法の効果を強化すると考えられる。この仮説を検証するため、慢性疾患患者、とくに慢性呼吸器疾患であるCOPD患者を募集し、そのサイトカインプロフィールを調べて、解析を行うことを目的とした。仙台市健康教室など行政側と連携した催事において患者を募集し、研究の参加者を募り、運動のやり方や万歩計の使い方等の指導を行った。コンプライアンスのよい運動指導法について、そのマニュアル等を作成した。まだ十分な患者数に至っておらず、引き続き、募集を行い、追跡していくことが必要である。 IL-6等の代表的なミオカインの細胞内シグナル伝達機構について、特にミオカイン分泌のきっかけになる刺激やその後のプロセスは不明である。分子機構の一端を明らかにするために、動物実験での実験系を使う。まだ、基礎実験の段階であり、骨格筋が実際に分泌機構を有するかどうか、確認ができていない。 骨格筋を電気刺激した際に、運動と同じ効果が得られるかどうかは、疾患の進行抑制やリハビリテーション等を考えるうえで臨床的意義が大きい。当院リハ科で電気刺激の研究が行われており、研究デザインを策定し、倫理委員会申請を行い、来年度に臨床試験に移行する。
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